彼女たちの流儀
130cm 2006/06/23
シナリオ:西空康誠/まやせろみ/御童魁 原画:みやま零

演劇…ということを通してヒロイン達と繰り広げる学園系恋愛AVG。

序盤では、主人公が母親の実家である屋敷に戻ってきた経緯が描かれます。
この屋敷には双子の姉妹である鳥羽莉と朱音がいるのですが、
昔の面影とは違う印象の鳥羽莉が物語の中心人物になります。

鳥羽莉の誘いで、二十日後の文化祭に行う演劇に出演することが決定し、
そこから演劇がメインとなったシナリオが展開して行きます。

シナリオは基本的に学園での演劇の練習と、日常生活、
そして実家の屋敷内での日常生活…
というパターンが描かれていきます。
日付が変わっても変わり映えしない日常と登場人物との関係…
という部分において、ややマンネリ化した印象を受けます。
テキストは簡潔で、テンポよいシナリオ進行で淡々と進みます

共通パートが80%近くあり、
その部分は上記のような日常的な部分と演劇のことがダラダラと描かれています。

共通パート以降は、ヒロインルートです。
基本的に演劇と絡み合わせた内容で、そこから恋愛関係に発展していきます
描写的な傾向としては、
演劇の部分や、シナリオのネタ的な部分に比重が置かれており、
恋愛系…としてのシナリオの傾向は薄いような印象を受けます。

エロは、ヒロインによって回数が違います。
回数的には普通…でしょうか?
絵のアングルはエロく感じるものの、描写的にエロいと思いません。
エロはオマケと見るのが良いかと……


絵は、塗りは美麗ですが、肝心の絵がイマイチな感じです
キャラの描き込み不足なのか、
キャラの絵の判別が付き難く、どのキャラも輪郭が同じで特徴がありません。
また、1枚絵と立ち絵に塗りに差はありませんが、デッサンの違いがあります。
なぜか1枚絵のデッサンが狂っている傾向があり、
構図やキャラの顔のデッサンが崩れています。
特にエロ絵でその傾向が強く、キャラによっては別人に見えます。
彩色は全体的に黄っぽい感じが強調されていてやや不自然な感じ。
立ち絵は2パターンの表情違いで、変化の頻度は普通です。
背景は、上手い絵と下手な絵の差がハッキリしており、両極端な感じです。
これだったら、上手い人の背景に統一して欲しいです。

システム面は、特に不満はありません。
文字は読み易い部類に入ります。

ボイスは主人公やヒロインにあるのですが、フルボイス…という仕様ではありません。
サブキャラ男にはボイスなし…という仕様です。
BGMは当たり障りのない音です。

プレイした印象は、
非常に退屈な作品でした。

作品に惹かれる要素はなく、
日常パートが、演劇部の練習と、日常的な部分の繰り返し…
という飽きる展開でした。
序盤で、双子の姉妹に秘密があり、
そういった部分でシナリオが展開していくのかと思いましたが、
実際にはなぜか演劇メインでシナリオが進行していくという摩訶不思議なシナリオ展開です。
また、双子の秘密という設定も有効活用されている気配がなく、
ヒロインルートに乗ったとしても、
ほとんど不要なシナリオ設定でした。

全体的に見ても、共通パートとなっている部分が不要であり、
演劇が題材となっているルートは極僅かです。
ヒロインルートに乗ってから、ヒロインとの関係が描写されていくわけですが、
どのルートも、お互いが好き合っている…
という部分が弱いです。
Hシーンが頻繁に描写されていても、心での繋がりがほとんど感じられません。
特には、主人公の心理的な描写が弱く、傾向としても、
ヒロインの流されるままに動いている…という印象です。
主人公の意思…というのが感じ取られません。

ヒロインルートでは姉妹以外の部分がほとんどオマケっぽいルートであることも、
チープさを物語っています。
シナリオが姉妹のために用意されたものであるのが明白なため、
他のヒロインが不要な存在になっています。
これは、屋敷内での描写も多くある…ということが関係しているのですが、
共通パートを長く引っ張り過ぎ…というのは明白でしょう。

起伏のない展開に、序盤から飽き飽きする内容。
そのままダルダルのままエンディングまで引っ張る…
という最悪の構成です。
ルートに乗ったら乗ったで、ヒロインと結ばれる説得性が欠落しています。

色々とネタをふってみたものの、
そのどれもが中途半端な感じで終了した…という印象です。
少なくとも、恋愛の部分ぐらいはマトモに作って欲しいです。


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以下、日記からのログです。ネタバレの可能性あり

2006/07/07
「彼女たちの流儀」

白銀朱音ルート

5年ぶりに再会した姉妹。
しかし、その姉妹は白銀の血により吸血鬼になっていた。
白銀鳥羽莉の誘いにより、文化祭の演劇に出演することになり、
この作品では、演劇に関する部分の描写が多い。
学園では演劇部でのこと、
そして、家などの日常生活が僅かに挟まれながら、
シナリオが進行していく。
白銀朱音ルートでは、
妹・白銀鳥羽莉と、姉・白銀朱音が主人公を取り合う…
という三角関係っぽい感じの修羅場が用意され、
そして白銀朱音を選ぶという展開に帰結する
展開的には白銀鳥羽莉との描写の比重が大きく(演劇部という部分)、
あまり白銀朱音との関係が大きく描かれているわけではない
確かにHシーンは、白銀朱音との関係が頻繁に描写されているが、
恋愛的に結ばれた…という感じを受けないシナリオだった。

全体的に描写不良という感じで、
演劇…という部分に大きく比重を持っていかれていることもあり、
起伏のない展開と、
そして変わり映えのしない日常…という、
決定的に飽きる展開…とも言える。

私としては、恋愛的な結びつきが弱いという印象を受けたために、
シナリオとしての説得性が薄い…と感じた。
修羅場っぽい部分も用意されているが、
ドロドロしたものは感じなく、あっさりしている。
これは白銀鳥羽莉の引き際がよいためにそうなっているのだが、
その分、白銀朱音との関係も希薄に感じた。
白銀鳥羽莉をメインに描写しているようで、そうではない…という中途半端な感じの否めないルートである。
序盤で飽きるのもマイナスイメージで、
もう少し、起伏ある展開を用意して欲しい。
下手に演劇…という部分に拘っていて、
肝心の恋愛的な部分の描写がおざなりだった。
白銀朱音との関係が希薄なまま、白銀朱音と結ばれてしまい最後まで納得のいかない展開だった。
「彼女たちの流儀」

白銀鳥羽莉ルート

基本的な流れは白銀朱音ルートと被っている
演劇が中心に描かれたルート

白銀鳥羽莉との間に生じた不和。
それを引き摺ったまま、文化祭を迎える
そして、演劇と似たような状況に置かれている2人は迫真の演技をする

で、関係修復して終了

……まぁ、やはりというか、この作品に言えることは、
あまり恋愛的な部分を上手く描写しているとは思えない。
結局、演劇…という部分を通してのみ、登場人物の置かれている立場を表現していない。

私には、主人公が白銀鳥羽莉をどれだけ好きなのか、
また、白銀鳥羽莉が主人公をどれだけ好きなのか…
という部分が読み取ることができない。
演劇…という部分だけなので、これで納得しろ…
と言われても困る。
前半から飽きる展開。
起伏がないし、同じような日常が描かれる…
という部分においても、惹かれる要素が見当たらない。

そもそも、吸血鬼という設定を活かしきれていない。
それでいて、恋愛という部分においても希薄な印象。
全体的にじんまりとまたまった感が強く、大袈裟な設定を用いているものの、
ほとんど自己満足に近い設定をプレイヤーに読ませているだけに思えた。

まぁ、設定云々もそうだが、
作品に惹かれるような魅力が大きく欠落していると思う。
せめて序盤で飽きさせないような展開ぐらいは用意して欲しい。
「彼女たちの流儀」

弓曳火乃香ルート

白銀姉妹を監視するメイド。
基本的な流れは、これまでと同じ。

弓曳火乃香が主人公を好きになってしまい、
メイドとしての役目がないと…屋敷を出て行く。
それを主人公が追いかけて終了

……面白くない。
突然の展開で戸惑う。
これまで演劇一辺倒だった展開の全てが無駄になっているし、
恋愛的な部分でも、
お互いが好き合っているという部分は読み取れない。
単に、最後に好きだとかほざいてるだけ。
で、Hシーンがあって終わってしまった。

不毛な内容をただ単に読まされただけ。
序盤の流れを完全に無視しており、何を言いたいシナリオかも不明。
単にエロシーンが描かれただけに思える。

一番気になるのは、絵が変だ。
立ち絵は魅力的だったけど、エロ絵は結構どうでもいいような絵。
キャラが別人に見える。
等身はどう考えたっておかしいし、顔は違うと思うのだが??

あとは、声が素人っぽいというか…どもり気味。
「彼女たちの流儀」

花葉千佐都ルート

長い共通パートに前半の無駄な展開は変わらない。

主人公がヒロインを好きになる動機付けが全くない。
主人公と白銀鳥羽莉が関係を持っていたことを知っていた花葉千佐都。
嫉妬して、花葉千佐都は身体だけの関係でもいいからと、主人公に迫る

花葉千佐都は白銀鳥羽莉に一方的に勝負を挑むが敗北
そして、なぜか主人公の関係を持つという意味不明の展開が描写され、
主人公が花葉千佐都が好きだというアドバイスを弓曳火乃香から授かるという意味不明の展開になり
そして終結する

なんか、説得性のない意味不明の展開だった。
主人公の気持ちを無視して、花葉千佐都は白銀鳥羽莉に勝負を挑む…というのも変だし、
それを傍観する主人公も変だ。
その後も、弓曳火乃香から、主人公に必要なのは花葉千佐都だということなのだが、
主人公の気持ちが一番大事なんじゃぁないの??
他人にアドバイスされてそれで受け入れるのか?
「彼女たちの流儀」

由希せせりルート

中身のない内容だった。
始めは演劇部部員ということで、
演劇の話中心だったが、
途中から中身が極端に薄くなった。
由希せせりの方は、始めから主人公に気がある感じだったが、
主人公の方は、由希せせりを好きになる理由付けがない。
恋愛系の話だったのかどうかも判別不能だが、
淡々と描写されて終わってしまった感が強い。
エロだけで終わった…という感じかな。

もう、どうでもいいよ。
面白くないし。
ペタ胸好きな人向け。
「彼女たちの流儀」

秋名涼月ルート

ツンデレオナニスト

過去に傷を背負った秋名涼月
と言っても、わけのわからないままにエロシーンが挿入されて終わってしまった。
好きだとか言うのは、あまり関係ないような……
何が言いたかったのかも不明。
前半の展開は完全に無視されているのは、これまでの通り。
Hするのも、一時の気の迷い…的な感じで始まるのだが、
最後に主人公が好きだとか言う始末。

描写不良なのだろうか?
説明不足?
取り敢えず、このシナリオって何が言いたかったんでしょう?
「彼女たちの流儀」終了

あー面白くないです。
まず、絵がダメ。
一見良さそうなのだが、
ゲンガーの書き込み不足なのか、才能がないのか……
顔が崩れまくり。
エロ絵の構図は似たり寄ったりだし、
立ち絵と1枚絵の人物が同一人物に見えないときがある。
顔の輪郭線は基本的にどれも同じっぽいし、髪と目の形が違うだけ…という感じかな。
あと、背景もダメ。
上手い背景もあるけど、下手なのは下手だとすぐにわかる。
これだったら、上手い人一人に絞った方が良いな。

シナリオは破綻気味。
演劇メインでシナリオが進行するのだが、
後半になると、演劇なんてどうでもいい展開。
白銀鳥羽莉のルートで、心情を演劇に映し出した…というぐらいの効果しかない。
それに吸血鬼という設定もいらない。

シナリオは恋愛系にもベクトルが向いていない状態で、
結局、アレコレと手を伸ばしているうちに、
どれもが中途半端な状態で終結してしまった感じ。

まぁ、それ以前に序盤で飽きるような展開だから、
序盤で作品に惹きつけられるような要素が欲しいところ。
なんか、ひたすらテキストを読む作業をしてただけ。

結論、面白くない。
評価:2点直行。

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