ゴア・スクリーミング・ショウ
ブラックサイク 2006/01/20
企画・原作・演出:上田メタヲ ディレクション・プロデュース:上田メタヲ
シナリオ:草壁祭 キャラデザ・原画:上田メタヲ

怪奇ホラーと、その裏に隠された真実…
というようなドラマを描いたAVGです。

序盤から、作風の緊張感を上手く醸し出されています。
ホラーを臭わせる始まり方など演出が上手く、
作品にプレイヤーを引き込む誘導の仕方が突出して上手いといえる作風です。

ホラー部分は、
「アダムスファミリー」などに見られる子供向け怪奇ホラーコメディを表面上匂わせながらも、
根底部分で怨恨等の日本的な猟奇ホラーとなっています。

序盤は、主人公・恭司が昔住んでいた街に戻ってきたところから始まり、
そして旧友との再会、
あるいはガラの悪い貞島のグループとのイザコザが描写されていきます

街で起こっている行方不明事件
従姉のさいたま闇子(夢川姫子)のオカルト取材
そして突如として現れる気味の悪い少女・ユカ

などの事象を発端としてシナリオが展開していきます。
しかし、基本的にホラーとしての部分は少なく、
どちらかと言うと、
緊張感を上手く演出してプレイヤーに恐怖感を植えつける演出が上手い…
という感じです。

シナリオは、個別ルートにおいては物語性が重視されています。
ヒロインの後ろめたい秘密を抉り取るような感じでスタートし、
そこからシナリオが次々と進展していきます。

ヒロインルートの基本的な流れは、
窮地に陥ったヒロインを救い出す…という部分で一貫している内容です。
恋愛的な部分はありませんが、
ヒロインを救い出そうと必至に健闘していく主人公の姿が描写されます。

エンディングはベストな結果が描写されるわけではなく、
ドラマ性を描いた結果からかベターなエンディングと言えるでしょう。

個々のエンディングでは全ての謎が明かされることはなく、
エンディングを迎えても釈然としないものが残ります。
しかし、事件的には円満に解決している内容ですので、
一応はエンディングを迎えたことによる達成感は感じます。

このゲームをプレイして謎に思う部分は、
全てのルートをクリアし、
個々の部分で考察しないと判らない…
という仕様になっています。
答えは明確に示されていませんので、不親切なシナリオ構成に思うかもしれません。

ただ…謎の部分はさておき、作品のドラマ性とストーリー性を考慮すれば
十分満足できる内容に思います。

エロシーンは、CGだけを見れば、陵辱シーンが多いです。
シナリオ的には、メインルートは和姦です。
陵辱シーンは、幻だったり、バッドエンドだったり……

ゲームは、プレイする人を選ぶ作品です。
普通に凌辱的な描写…というモノではなく、猟奇的にグロさを出している部分もあります。

絵は、塗りがやや気になる部分もありますが、
スレスレ美麗と認識できるレベルでしょうか。
立ち絵の変化は普通のレベルで、
パターン的には、2アングルで弱冠のポーズ違いが数種というところでしょうか。
1枚絵は、イベントCGが少なく、エロ絵が中心です。
そのためか、後半に集中している…という印象です。
エロ絵は、陵辱系の絵が目立ちます。
それに伴って、グロイ絵も少し混じっている…という感じです。
グロイ絵はモザイクが掛かっているので、さほどグログロしたものは感じません。

システム面は、さほどストレスは感じませんでした。
エフェクトが切れません。しかし、エフェクトは結構早いので慣れれば気にならないレベルです。
フォントサイズも適度であり、文字が読み難い…ということは全くありませんでした。

ボイスは主人公以外という仕様です。
キャラにあっているという印象。
BGMも作風に合っています。
主題歌、エンディングテーマはメタル調です。
キーボードが打ち込みっぽい音であることや、ノイズが気になる…
という部分でややチープさを感じるものの、
スピードメタルっぽい疾走感は伝わってきます。
個人的には、女性ボーカルという部分が疑問……
(作中、ライターによるメタルの熱い思いは伝わってきましたが…何故女性ヴォーカルに??)

プレイした印象は、
文句なしの良作です。

作風の緊張感が上手く演出されており、
それがホラーとも言い難い部分で恐怖感を与えるのに功を奏しています。
ゴアというイカれた存在を作り上げたことも作品を盛り上げる要因となっています。

シナリオ展開は、視点となる登場人物達を窮地に追い込む描写が優れており、
それを何とかして解決策を見出していく登場人物達の苦悩が上手く描写されています。
解決策の説明がやや強引な印象も受けますが、
元々摩訶不思議な世界観を作り出している分、さほど気にならないレベルです。

作品全体を通して見れば、猟奇ホラーとも言える内容です。
しかし、実質的な部分ではどちらかと言うと、
「復讐」「恨み」
というような言葉をキーワードにしたストーリー重視の内容ですし、
主人公視点で見れば、
ヒロインを何とか救い出そうとするシナリオの内容になります。
そのため、猟奇的な部分やホラー的な部分も、
シナリオを盛り立てるための演出の一部…と見るのがよいでしょう。

シナリオ背景としては、ゲームをコンプリートしなければ説得性がない…
というのが勿体無い気もします。
しかし最終的には、この物語が発端となった元となる根拠も丁寧に描写されています。
また、伏線の配置をルート毎にバラけて配置したことで、
真相が徐々に判ってくる…という構成になっています。
そのためか、プレイ開始から作品をコンプリートするまで十分楽しめた内容でした。

ただ、真相に近づけば近づくほど、
ゴアやユカという存在の不気味さやミステリアスな部分が剥げ落ちていき、
最終的には恐怖感を受けるというより、
一種のストーリー性を重視したドラマを見ている気分になります。

プレイ開始時のホラーを臭わせる作風に終始期待する人には肩透かしを食らうでしょうが、
作品全体を通してのシナリオの説得性や接合性を上手く描写している分、
シナリオを重視する人には満足できる内容だと思います。

ゲームは、恋愛にベクトルが向いていません。
陵辱的な部分や、グロい部分を気にしない人であれば十分楽しめる内容でしょう。


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以下、日記からのログです。ネタバレの可能性あり

2006/05/20
「ゴア・スクリーミング・ショウ」

エンディングを1つ見ました。
いやいや…この作品いいねw

緊張感剥き出しの作風で良いよ。
こういった作風は今年では初めてだな……

まだ、全然わからないことが多いけど、エンディングを重ねていけば判るんだろうと思う。
なんか、久々に有意義な時間を過ごした気分になりました。

2006/06/15
「ゴアスクリーミングショウ」

〜〜深園希衣佳ルートネタバレ総括〜〜

郷土調査でユカの屋敷に行くところまでが共通パート
ユカの屋敷で深園希衣佳がしだいにおかしくなる…
性欲が異常に湧き、自分自身(ドッペルゲンガー)を見るようになる。

性欲が中々満たされない深園希衣佳。
八瀬由規はそれは、ユカのせいであり、
深園希衣佳はユカが恨む八瀬由規の恋人・早由美と瓜二つということで巻き込まれた。

あるとき、深園希衣佳はユカに連れ去られる。
それを助けようとユカの屋敷に乗り込む主人公と八瀬由規。
八瀬由規はユカを道連れに死亡。

平和な日常が戻ったと思った束の間、深園希衣佳の異常な性欲が再発する
そして……

という流れ。

素直に、かなり面白いと書いておこう
緊張感を作り出す雰囲気を演出する手法が突出していると思う。
また、幻影を何度も見せられ、不思議な空間を作り出している作風も良い感じだ。
確かに、幻を何度も見せられているので、
どこが本当の世界かを把握するのに苦労するかもしれないけどね。

恋愛AVGの方向には当然ベクトルが向いていない。
しかし、ヒロインを守ろうとする主人公の思いは十分に描かれている
シナリオはユカの手からヒロインを守る…という流れだからね

陵辱シーンは、幻を見せられているパートとバッドエンドのみ。
シナリオの流れ的には、陵辱系ではない。

アカネのルートで色々疑問だった箇所がここのルートでは説明されている。
正直、ゴアが何者か…というのが疑問だったけど、
深園希衣佳ルートでそれっぽいことが書かれていた

八瀬由規がユカに不意打ちで発砲したとき、
ゴアにもダメージがあった…というのがヒントだろう。
また、ユカがキズを負ったときはゴアが登場しないというのも…
ゴアに発砲してもゴアにはダメージがない…
つまりは、ゴアは単なる人形かユカの作り出した幻か……
どの道ゴアはユカが操っているモノなのだろうね

あとは、闇子が取材する事柄
・人喰い鬼
・光の御柱伝説
というのも深園希衣佳ルートで一致した

あと疑問なのは、
ユカが主人公に固執する理由がまだわからない。
ユカは”主人公がユカを追ってくる”…ということを望んでいるようだ
これは、主人公がユカを恨んでいても構わない…ということらしい。
最後にユカは主人公の言葉「ユカを追わない、ユカを忘れる」で、
この世界を去ることを決意するのだが、
主人公の記憶にとどまっていないといけない…ということなのかなぁ…

現状の評価は10点。
グロいとかは気にしないからね。
私は、起伏のあるシナリオ展開に、
緊張感の保たれている雰囲気の作品が大好きだ。
「ゴアスクリーミングショウ」

一柳あかねルートが忘れ気味なので、もう1回プレイし直さんとアカンなぁ…(汗

2006/06/17
「ゴアスクリーミングショウ」

〜〜深園希衣佳別ルート〜〜
貞島達にまわされる…という内容
「ゴアスクリーミングショウ」

〜〜深園希衣佳別ルート〜〜
深園希衣佳が母親に拷問を受けて死亡
「ゴアスクリーミングショウ」

〜〜双木葵ルート〜〜

あかねに対してコンプレックスを持っている葵。
葵は、あかねが主人公・恭司のことが好きだと気付き、
主人公を自分のものにしたら…と考えるようになる

そういった後ろめたい気持ちをユカに見透かされ、
「消えたい」という願望から
鏡の世界に迷い込む。

主人公は葵を探すことに躍起になるが、
現実の世界が、ユカの世界に染まりだす。

夢とも現実ともおぼつかない世界で、
恋人を殺されユカに恨みを持つ八瀬由規と行動を伴に、
葵を救い出すこと、そして狂った世界を戻すことを目指して……

という流れの展開

面白い内容だった。
勿体無いのは、ゴアとユカの存在が段々謎めいた部分というか…
ミステリアスな部分が大分と薄れてしまったことかな。

それまではずっと幻ばかりを見せていて、
ユカやゴアの存在自体を神秘的というか…謎めいたモノにしていたけど、
このルートでは、現実的に主人公・恭司を手に入れようとするユカ…
という流れがあるように思う。
というのも、このルートはそれまでは
ユカの屋敷中心だった描写が、
街全体に伸びてしまったことが原因かな。

まぁ、それでも楽しめた。
全てのルートをクリアすることによって、全ての全体像が見渡せる…
という内容のようだ
そのために、ミステリアスな部分が薄れていくような気もするのが残念だが、
作品を否定する要素にはならないかな。
緊張感は大分維持しているし、
作品に引き込まれる魅力を持った内容であることには間違いない。
「ゴアスクリーミングショウ」

〜〜双木葵別ルート〜〜

バッドエンドだけど、
貞島が大活躍する

主人公を気に入らない貞島は、あかねをモノにし、優越感に浸る
その後、ユカが貞島に接触。
貞島と手下は肉塊に変貌
その後、葵が鏡の世界に迷い込み、
鏡の世界で陵辱されているあかねを発見。
そして、葵も同じ運命を辿る

主人公からあかねを寝取ったと思っている貞島が良いね。
その後の行動も、優越感に浸りたい一心の貞島の必至な姿が中々良い感じ。
まぁ、バッド系エンドだから陵辱行為がメインだけどね
プイレイヤーに負の感情を引き出させる展開が上手いと思う。
ラストは、葵が陵辱されるんだけど、主人公がいない世界だからなぁ……
「ゴアスクリーミングショウ」

〜〜夢川姫子ルート〜〜

ユカを見た闇子(夢川姫子)は昔を思い出す。
桃音、紫、早由海、ひーくんで遊んだ子供時代。
あるとき紫を井戸に閉じ込めた。
その後、井戸から出てきた紫は人が変わっていた…

早由海は紫の強い恨みで殺された
八瀬由規が殺された早由海の恋人で、街にやってくる。
しかし、復讐を果たすことなくユカに殺される

八瀬由規の手帳に記された紫の恨み
それを知った闇子はユカとの決着をつけるために……

という流れ。

このルートでは、大分謎の部分が解明されてしまった。
分裂症の女・真白の話が大分関係している。
戦時中に行われた儀式。
光の柱の「人形」取り込まれるときに2つの石を掴み真白は命が助かった
1つは、身体の中に入り、年を取らない体質(ユカと同じ症状)に。
もう一つは対をなす石で、「人形」を遠ざける。
それが八瀬由規が真白から譲り受けたペンダント。

これから、井戸に閉じ込められた紫は、身体の中に石が入り不死身の身体を手に入れる。
その石の力で「人形」を操る力も手に入れた…ということか?
「ゴアスクリーミングショウ」

〜〜紫ルート〜〜

完全とも言い難いが、
ゴアと紫の復讐心の根拠が描かれるルート

主人公・恭司以外は邪魔な存在と言い切る紫。
主人公の友達を殺そうとする…が、
平然とする紫。そんな紫に主人公は注意を促す。

昔の記憶…
桃音、早由海、姫子の3人に井戸へ閉じ込められる
暗闇の中で、恐怖心の塊だった紫。
そんな中、石が紫の身体の中に取り込まれる

恐怖心の根源に桃音に対する復讐心、そして全てのモノに対する復讐心を抱いたまま、
石を取り込んだ紫の時間が停止した。
石は「人形」ゴアを操り、
復讐心はゴアに殺戮を命じる。
ゴアは恐怖を与える紫の人形となる

主人公が子供のときの祭…
そのときに両親を殺したばっかりの紫と出会う
恐怖を与えるゴアを目の前にして臆する事のない主人公に惹かれる紫。
紫にとって主人公は希望を与える存在となった。

一方で、恋人を殺されたことで復讐をする八瀬由規。
八瀬由規は紫を追い込み…

主人公は紫を連れて逃亡……

という流れ。
ストーリーとしては素直に面白い。
ただ、プレイ最初に感じたミステリアスな部分が全く無くなってしまった。
あかねや、葵、希衣佳のルートでは恐怖心をプレイヤーに植えつける手法が良い感じだったけど、
今回はのルートはドラマだね。

恋人を殺された八瀬由規という存在だけど、これが良い方向に作用している
というのも、紫と恋人になった主人公という立場があるわけで、
その紫を八瀬由規が殺したら…?
ってなるよね……

ラストの展開は読めたけど、
ゴアのネコの話が何を比喩しているのか理解できなかったことが悔やまれるところ。
予測は勝手に出来るけど、
正解は?
って思ってしまう
病気の恩師を助けるために旅に出かけて不思議の石を砕いて飲ませる…ということなんだけど、
病気をわずらってる人=紫?
ってことは
ネコ=ゴア?
違う気もするなぁ……

まぁ、まだゴアの存在がハッキリしていないけど、
それまでのルートでヒントは大きくでているよね。
九重真白の話にでてくる「人形」がそうだし。
戦前の話の光の柱もそう。

まぁ、何にしろ、純粋に面白かったよ
話の内容が。
涙が出る…まではいかないけど、
感動は出来るかな。
「ゴアスクリーミングショウ」終了

プレイ開始時の印象と、ラストの印象は随分と違ってしまったが、
個人的にはかなり面白い内容だった。

メタル系の楽曲だったことも好みの範疇かな。
ただ、メタル系の楽曲といっても、
キーボードは打ち込みっぽいし、演奏はノイズの壁でクリアーではない。
こういったところでチープ感がある。
作中、ライターのメタルにかける思いは伝わってきたが、
実際の曲がチープじゃぁねぇ……
あとは、女性ボーカルというのもマイナス。
メタルで女性ボーカルは合わないよ。
いかに中音域が上手く歌えるかがミソなのに。

作中で出てくるパラノイアロストはPARADISE LOSTだし、
ジューダスビショップはJUDAS PRIESTだな。
SENTENCED辺りの名前も出たし…
何だ、90年代中心なのね……

まぁ、音楽の話はさておいて、
序盤から惹きつけられる内容で、ラストまでずっと楽しめる。
緊張感の演出とかも上手い。
勿体無いのは、1枚絵のイベント絵が少ない

ただ、人を選ぶ作品。
モザイクかかってるけどグロい絵がある。
陵辱的なシーンもあるしね。
私の評価は10点だな。

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