ツグナヒ2〜もうひとりの奈々〜
ブルーゲイル 2006/06/23
シナリオ：望月JET 原画：さえき北都
プロデューサー：USA ディレクター：みつほ

「復讐」という言葉をキーワードにしたレイプモノAVG

主人公がある日、女の子がレイプされる現場を目撃するところから物語の発端となります。
街に起こっている、通り魔事件。
そんな中、主人公の妹・奈々が何者かにレイプされ、更に車に轢かれる…
という事件が起きます。

そして、その事件の真相を知る…という人物・ユイが主人公の目の前に現れ、
「復讐」を果たしていく…
という内容です。

犯人の首謀者が財界の大物…ということで、
ターゲットがその娘に絞られます。
それが、梢、千尋、真由の3人で、
この3人をレイプしていく過程が描かれていきます

そして、エンディングに向かいます。
エンディングは、どのエンド（１つを除く）もハッピーエンドにはなりません。
それっぽいエンディングもありますが、
何かを犠牲にした上でのエンディング…という感じです。

あるエンディングを見ることによって、真相が判ってくる…
という構成になっています。
ネタ自体は、さほど複雑ではありませんし、
状況的によくテキストを読んでいれば、最初から予測できます。
単純に「復讐」という言葉をキーワードにした物語ではない世界、
あるいは、主人公を更なる理不尽な状況に追い込む真相が用意されています。

エロは中盤以降で、主人公が3人のヒロインにレイプすることがメインです。
描写的にさほど、酷い陵辱劇が繰り広げられるわけでもなく、
単純にレイプモノ…という印象を受けました。
エロシーンは、さほど長くなく、スッキリとしたテキストで読みやすい…
と感じますが、エロを重視する人には物足りないかもしれません。
CGは1〜2枚で終るパターンが多いかと思います。

絵は……美麗には感じますが、
全体的に不自然な絵に見えます。

キャラの体系のバランスも不自然さがあり、明らかに悪い…というイメージはありませんが、 どことなく違和感を感じる部分があります。
あとは、キャラの顔の各パーツのバランスが悪いように見えます。
1枚絵は、テキストと表情が一致していない箇所があり、
そういった部分で考慮が欲しいです。
立ち絵は、1アングルで、弱冠のポーズ違いです。
表情は、テキストに合わせて普通に変化する…と言う感じです

システム面は、メッセージウィンドウの透過度が変更できず文字が読み難いです。
テキスト送りは快適です。

ボイスは、女性主要キャラのみ…という仕様です。
BGMは当たり障りのない音。

プレイした印象は、
イマイチな内容でした。

単純な陵辱AVGにならずに、事の真相が別にあるとすぐに予測できますが、
そういったネタは別として、
作品がチープな感じを受けました。
まず、主人公の心理的な部分が淡々としており、
復讐心に燃える怒りを感じ取ることが出来ません。
これは、作品に緊張感が足りない部分と直結していると思いますが、
この作品には、プレイヤーにテキストを次々と読みたくなるような力がありません。

もう少し、主人公が置かれている立場を上手く表現して欲しいです。
確かに、主人公には元から、
お門違いな「復讐」に疑問があったのかもしれません。
また、鬼畜性のない性格から陵辱…
ということが躊躇われたのかもしれません。
しかし、それで生ぬるい描写をゲームとして提供されても、
面白いと思えるような要素には成りえません。
理不尽な状況に置かれているなら、
その怒りをぶつけるような心理的な描写や、行動が欲しいところです。

テキストは、淡々としていて簡潔。
そのために読みやすい…という部分はありますが、
ゲームとして面白い…と思わせる要素が欠落していると思います。

シナリオとしては、ネタがすぐにわかる…という部分は考慮に入れなくても、
それなりに機能しているシナリオではあるので、
緊張感の演出や描写的なものを上手くしていけば、
それなりの作品になるのではないか…
と感じました。
そのために、非常に惜しいと思います。

物語の流れとしては、
単純に「復讐」を掲げ、「復讐」と題したレイプを実行。
しかし、「復讐」を果たしていると思っていたことが、実は違い、事の真相を知って落胆。
変えられない運命に……
という展開が主になるのですが、
もう少し、プレイヤーへ簡単に推測されないような伏線と、
二重三重にラストが展開するようなシナリオを用意しても良かったんじゃぁないでしょうか？
内容的にはストレート過ぎる展開かもしれません。


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以下、日記からのログです。ネタバレの可能性あり

2006/07/08
「ツグナイ2」終了。

妹・奈々が何者かにレイプされ、車に轢かれて入院……
そして、その状況を知る人物・倉木ユイがあわられた。
倉木ユイは、犯人が大物の東條と神楽だという。
倉木ユイの母親も同じような運命を辿った…

主人公は、倉木ユイを信用しないながらも、
僅かな情報を提供した倉木ユイの提案を呑み、
東條と神楽の娘を陵辱する計画を練る

で、陵辱シーンが色々と描かれてエンディング分岐


最終的には、事の真実が判るようになるのだが、
最初から予測していたことが、
そのままのネタになっているので、意外性が全く感じられない。

大体、復讐をするために東條と神楽の娘を陵辱する経緯に至っても、
主人公の意思が全く感じられないし、
ユイの意思そのまま…というのがいけないかと。
復讐…という言葉をキーワードにしながらも、
その復讐心が上手く伝わってこない。
例えば、警察に任せられない…とかは一応書いてあるものの、
そういった考えに至った経緯がない。少なくとも警察に不信感を持つエピソードが必要だろう。

あとは、心理描写が足りない。
妹がレイプされたにしろ、
その怒りがプレイヤーに伝わってこないし、復讐をするにしろ、
復讐心に燃えた主人公の心理描写がない。
単に「復讐だ」と叫んでも説得力がないのは当然だ。

怒り、焦燥感とか負の感情を上手く表現し切れていないんだな。
こういった部分が、この作品をチープなモノにしていると思う。

こういった作品は、ネタの部分は大したことがなくとも、
ちゃんと順序立てたものと、
登場人物の心理描写を上手く描写しきれていれば、
作品に惹かれる要素は出来ると思う。
それと緊張感も足りない。
間の取り方や、BGMによる演出が全くなっていない。

この作品には、重要な部分が大きく欠落していると思う。
陵辱系には、エロがあればいい…と思うかもしれない。

しかし、シナリオが機能しているものが面白いというのは当然だし、
「ツグナイ2」においても、
シナリオのネタは考えられたモノだとは感じ取られる。
そのネタを活かしきる技量が、やはり欲しいと思う。

評価：3点

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