委員長は承認せず!〜It Is a Next CHOice〜
Chien(シアン) 2006/06/02
プロデューサー・プランニング:まーどっぐ トータルディレクション:矢塚若知太
シナリオ:神無月如月/0-take/七央結日/逆神喧云/まちゃ吉 キャラデザ・原画:ここのか
サブデザイン・サブ原画:矢塚若知太/柳木悠一郎

委員会が全てを管理している学園に転校してきた主人公。
一部の委員会の不穏な動きに学園長は委員会を監視する監査委員会を設立し、
その委員長に転校してきた主人公が選ばれた…

ゲームは選択肢を選ぶことによってルートが分岐するオーソドックスなAVGです。
序盤、主人公が監査委員会に選ばれる経緯が描かれます。
そして、不穏な動きにある委員会を調査していくわけですが、
あることをきっかけに主人公は仮面カンサーを名乗ります。

これは、ある種のヒーローものをコメディータッチにパロったもの…
という感じです。
ドタバタ系…とも言い難い部分がありますが、
ノリが軽く騒がしい雰囲気を感じます。

シナリオは、学園長であり調停委員会の委員長である高城麟瞳の指示により
色々な委員会を調査していく過程が描写されていきます。

それ以外では、学園での日常生活…というパートになります。
ヒロイン達や、男性サブキャラ達との会話でも、
不毛な日常会話というわけでもなく、
どちらかと言うと委員会に関係した会話が中心で
一応シナリオに関係しているような会話が繰り広げられます。
明るく楽しい雰囲気ではありますが、騒がしいだけ…
という傾向があり、ドタバタ系のノリというのは感じません。

主人公がサバサバした性格のためか、割切り方が早いです。
文章も回りくどい表現がなく、テンポよく進みます。
全体的にノリ重視…という傾向が強く、
ややバカらしさを出しながら軽快にシナリオが展開していくという、
気軽にプレイしやすい内容です。

中盤辺りからヒロインのルートに乗り、
全体の傾向としては、
不穏な動きをしている委員会の委員長がヒロインであり、
そのヒロインをどうにかして救い出す手を捜そうとする主人公…
という状況が描写されていきます。

エンディングは予定調和になる傾向がありますが、
如何にも終結した…という印象を与える終わり方をします。

エロは、終盤に2回あるぐらいで、ほとんどオマケという位置付けです。

絵は、塗りが少し気になります。
一応、美麗には見えますが、やや不自然な印象があります。
立ち絵は2アングルに数パターンのポーズ違いになります。
演出はそこそこ上手いようには見えます。
ただ、立ち絵のサイズが小さく、背景に埋もれてしまう感じはあります。

システム面は、ほとんど不満はありません。
テキスト送りも快適ですしエフェクトも切れています。
フォントも見易い大きさです。

ボイスは、主人公はなしで、主要キャラにあるという仕様です。
ナレーションにボイスはありますが、男性サブキャラは一部アリになります。
BGMは当たり障りのない音。雰囲気には合っているという印象です。

プレイした印象は、
普通の出来です。

ノリが軽く、バカっぽさを出した雰囲気で悪い感じはないのですが、
終始そういった雰囲気がなく、
序盤で掴みはOK…という感じなのに、段々テンションが落ちていきます。

シナリオは、不穏な動きのある委員会の委員長であるヒロインを救う…
というのがメインになりますが、
描写的にルートによってクオリティが違うという印象を持ちました。
一応、全てのルートにおいて起承転結を感じます。

しかし、一部のルートを除いて結果だけが与えられているという感じであり、
結果に繋げる展開がややおざなりになっています。
特に見せ場となる場面に繋げる展開において、
描写不良を起こしている傾向にあります。

また、そのルートにおいては、登場人物の心理的な描写も薄く、
窮地に立たされているなら、もっと切羽詰った状況を描いて欲しいです。
そういう部分で起承転結がありながらも展開が平坦になりがちになり、
面白味もあまり感じないルート構成にしていると思われます。

ただ、一部のルートでは見せ場に持っていく手法が上手く取れており、
そのルートにおいては面白いと感じさせます。

全体的に見ると、序盤はバカさ加減を出しており、
作風的に惹きつけられるものを感じましたが、
後々でそういった作風が影を潜めてしまって残念です。
特にルートに乗ってしまうと下手にシリアスな路線に行く傾向があり、
そういった部分で、序盤のような雰囲気を持たせてメリハリをつけて欲しかったです。
ルートを通してプレイしても、別段悪い印象はありませんが、
中途半端な感じは否めなく、
もう少し何らかの工夫が欲しいところです。

ゲームは、恋愛AVGではありません。
騒がしい雰囲気の作風が好きな人には向いているでしょう。


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以下、日記からのログです。ネタバレの可能性あり

2006/06/11
「委員長は承認せず!」インスコ完了

まだまだ序盤だけど、プレイ開始の掴みはOK…
という感じの流れだな。

最初はドタバタ系でも単に騒がしいだけか……
と思ってプレイしていたんだけど、
なんか滅茶苦茶バカらしくて、
微笑ましいw

こういった軽いノリ全開の作風は良いね。
最初の「パンダ」の流れから「仮面カンサー」に至るまでの流れは思わず笑ってしまった。
これが何処まで続くか……
というのがキーポイントになりそうなゲームかな。

ウン、中々良いよ。

不満点は、もう少しビジュアル面で工夫が欲しい。
立ち絵の演出とか…一応工夫をしている形跡は感じられるが、インパクトに欠ける。
ギャグ顔の絵とかも、一応はあるけど、
もう少し頻繁に表示してもいいと思うんだけどね。
「委員長は承認せず!」

ウ〜〜ン…序盤は結構面白いかと思ったんだけど、
段々テンションが落ちていくなぁ…

結局、普通かな…という出来。
序盤で惹きつけられる魅力は持った作品だったけど、
段々魅力が薄れていった。
まぁ、序盤は良いのでテキストを読もうという意思が出てくるのは良いんだけどね。
作風的に、あまり真剣に読んではいけない…という雰囲気だし(笑

〜〜高城麟瞳ルートネタバレ総括〜〜

高城麟瞳との関係の描写が薄い。
恋愛AVG…というより、委員会の騒動の物語にベクトルが向いている

学園に転校してきた主人公は初日から、
学園長であり調停委員会の委員長である高城麟瞳に監査委員会の委員長になるように命令される。
そして、次の総会までに数々の不正を行っている委員会の裏を探る…という展開。
主人公は、苦し紛れに「仮面カンサー」を名乗るが、
別に「仮面カンサー」を名乗る人物が現れる。
別の「仮面カンサー」は以前からの委員会の仕組みに疑問・恨みを持つ人物で、
全ての委員会を断罪しようと学園政府を樹立し、調停委員会の高城麟瞳と対立する

そして…総会の日に……

という展開。
最後は、そういった争いごとがメインで描かれます。
文章だけ追ってれば、そこそこは面白い内容かもしれません。

個人的には、もうちょっと軽いノリを強調して欲しいね。
最初の序盤だけだったのが勿体無い。
バカバカしい作風で結構面白いかも…とは思ったんですが、
結局中盤以降は変にシリアスな路線に持って行こうとしています。
BGMの演出とかは、どことなく正義のヒーローモノを彷彿とさせまますし、
作風的にもそっち方面…という感じですね。
起承転結はハッキリしていますし、
悪くはないんですが……やっぱ中途半端かな…という感じです。

高城麟瞳の位置づけも…そういった正義のヒーローモノのヒロインの役割…
という感じの描写でしかありません
「委員長は承認せず!」

いや…結構面白い作品と思えるようになってきた。

〜〜経・アダムスミスルートネタバレ総括〜〜

会計委員会委員長の経
経の知らない間に、会計委員会副委員長を中心として大掛かりな不正が行われた
一方で、調停委員会は不正な金の流れに会計委員会が絡んでいると見て、
主人公に調査するように命じる
経は、金の流れがおかしいと感じながらも、
仮面カンサーにそれを指摘され、
経以外が行ってきた会計委員会が行った不正の事実を知る
経は、不正を真意に受け止めるが、
会計委員会を見捨てることが出来ない
そして、総会で全ての不正を自分がやったこととして処分を受けようとするが……

という展開
経と主人公の関係の描写…というのが薄い気もしますが、
まぁ、やはりこの作品はそういった部分よりもシナリオの方にベクトルが向いているのだろう。
ただ、まだ高城麟瞳ルートよりも経と主人公の関係は描写されていた方かな。
お互いが好き合っていることは読み取れたし、
最後の総会の騒動もそれを利用したシナリオの展開だった
そういう意味では、結構展開の持っていき方が上手いと感じた。

それと、ラストの展開も、いかにも終結した…
という感じを与えるものなのでスッキリした気分になれる

途中の展開は、無実の罪に問われながらも、
それを打破していくという単純明快なストーリー。
経と主人公、それぞれ立場が違いながらも、
報道委員会の間違った報道によりスケープゴートにされるが、
それを突き崩していく…という感じかな。

起承転結もしっかりしているし、それなりに満足できたルートだった。
あとは、シリアスになろうとしてもシリアスになりきれない作風が良いね。
最後も軽いノリがジャブ程度に用意されていたし。

2006/06/13
「委員長は承認せず!」

〜〜メアリー・ショルジニルートネタバレ総括〜〜

報道委員会委員長のメアリー。
主人公と交流する内に気になる仲になる
そんな中、仮面カンサーはある委員会の調査中において、
報道委員会のメアリーに正体が主人公だとバレれてしまう
更に、写真委員会にその場の写真を撮られ、
それがきっかけでメアリーが仮面カンサーの正体を知っているのに報道しない…
という疑惑がけかられる
その後、委員長の座を奪われたメアリー
そして写真委員会の横暴

そしてついにメアリーの査問会が開かれることに…

という展開。

ウ〜〜ン…普通かな。
展開というか…今までどおりの展開の仕方なんだけど
イマイチ面白くない
結局、写真委員会を悪と見立てて、それに立ち向かっていく…
というものなのだが、
経ルートほど面白いとは思わなかった。

なんかこのゲーム、ルートによってクオリティが違う気がします。
高城麟瞳ルートもそれほど面白い…とは思わなかったんだけど、
経ルートだけか??

2006/06/14
「委員長は承認せず!」

〜〜診撚縁ルート総括〜〜

学園に広まった花粉症
その原因とは?
という展開。

ウ〜〜ン…かなりイマイチな内容かな。
起伏のない展開で、シナリオの展開も全く捻りがない…
途中から仮面カンサーとかは関係が無くなるし、
設定そのものが前半とルートに乗ってからの流れが変わってる感じ。
「委員長は承認せず!」

〜〜凪葛刃ルート総括〜〜

凪葛刃と恋人のフリをしている内に恋人同士へ
一方で、凪葛刃の兄が調停委員会に歯向かおうとしている
凪葛刃はそれを気取られないようにしていた
そして、総会の前に決起する…
という展開

これもかなりイマイチなルートだった。
根本的に面白くない。
展開に起伏も感じられないし…
「委員長は承認せず!」終了

ウ〜〜ン…最初は面白いかと思ったんだけど、
全体的に見ると、普通かな?
ルートによる出来も経ルートだけは面白いと思ったけど、
他のルートはどうでもいい感じ。

でも、どのルートも展開は似たり寄ったりで、
ある意味、内容的には大分共通していると感じるんだけどね。
ライターが多いんだけど、ライターの技量の差…なんでしょうか?

経ルート以外は、ちょいとダラダラとしたものを感じます。
また、ラストに持っていくアプローチの仕方も下手かな。
まぁ、全体的にラストは終わった…という感じは受けるんだけどね。

ルート毎以外でも、
序盤の出だしは良い感じだったけど、
最後の方はダメかな。
序盤で、バカバカしい展開があるんだけど、
ああいったバカらしい展開を極めて欲しかった。
後半に行くと段々テンションが落ちるから、中途半端な感じだった。
ゲーム設定的にも、バカバカしさを追及するような内容だしね。

ただ、こういった部分が修正されていけば、十分面白い作品には成りえたと思います。
次作品に期待しましょう。

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