七彩かなた-夏休み!ドキラブバカンス夢冒険!-
千世 2006/05/26
プロデューサー・ディレクター・原案:Yow
シナリオ:田中天/三国亮/HARE/丹藤武敏 原画: 田口まこと

夏休み。
アミューズメントパーク「ホウライMAZE」が廃園に追い込まれた怪奇現象の謎に
主人公達が乗り出す…という内容。

児童書によくあるタイプのストーリーで、夏休みの思い出作りのための冒険譚…
という流れを持った大人向(?)AVGという趣向です。

序盤は、夏休みに旅に出る…という部分が強調されたシナリオの流れで、
ゲームの目的がいまひとつ判らない…というもどかしさがあります。

登場人物が多く、内容的にも会話中心でシナリオが展開します。
テンポよいシナリオ進行に、大人数での賑やかな会話を楽しむ…
という具合です。
雰囲気的には一見明るいドタバタした感じ…はするものの、
実質的には単に騒がしいだけの不毛な会話が繰り広げられるだけです。

「ホウライMAZE」に着くと、いつの間にか怪奇現象の謎を追う…
という内容になっています。
この辺からイベントが次々と展開しだします。
最初は暴走したロボットに関することが起点となりますが、
次に「ホウライMAZE」自体が平安時代にタイムスリップする…
という現象が描かれ始めます。
このゲームのシナリオは、このタイムスリップ…というのが基盤となっており、
ここからシナリオが中盤〜終盤にかけて向かっていきます。

シナリオは1回クリアしただけでは、この物語の全体像が見えて来ず、
クリアすることによって追加されるシナリオをプレイすることによって、
この作品のシナリオの核となる話の謎が解けていく…
という仕様になっています。

ヒロインのルートは、
ヒロインと結ばれることが中心に描かれているわけではありません。
個別ルートのエンディングは、ヒロインとのエンディングに帰結しますが、
ヒロインとの恋愛関係があまり描写されていないということで、
やや不満が残るかもしれません。
これは、シナリオのネタが重視されているということ、
そして、この繰り返しプレイする…
ということがシナリオのネタに引っかかってきているということで、
ヒロインとの恋愛描写が薄くなることは仕方のないことなのかもしれません。

また、真のエンディングは、全てのネタが明らかになったあと…
ということで、かなり根気よくプレイしないといけません。

最終的なネタに納得できるかどうかは、人それぞれだと思いますが、
賑やかな会話を楽しむ雰囲気の作品が好きな人には
この作品は向いているでしょう。

エロは、サービスカット…というレベルのシーンは満遍なく配置されていますが、
本番は基本的にヒロインルートに乗ってから…になります。
回数的にも、あまり多い…というイメージはありませんので、
エロはオマケとみるのが良いでしょう。

絵は、プロローグでずっと1枚絵の表示だった…
ということで物凄く期待感を持たせる仕様でしたが、
実際の本編は立ち絵が主力です。
立ち絵は全体的に不自然なポーズが多く、
パターン違いでも不自然というどうしようもない仕様になっています。
パターン数的には3パターンぐらいでしょうか。
変化はほとんどせず、
どちらかというと表情だけが変わる…という傾向があります。
この辺は…普通…でしょうか。
1枚絵は、エロ絵が中心です。イベントCGも普通にありますが、
普通にプレイしていても多く感じることはありません。
塗りは普通のレベル。
個人的には、キャラのデザインに魅力を感じません。もう少し画力をつけて欲しいです。

システム面ですが、メッセージウィンドウの透過度変更の設定が欲しいです。
あとは、エフェクトが切れないのがダメです。
レスポンスが悪いしストレスが溜まります。

ボイスはフルボイスという仕様ですが、
主となる視点の人物にはボイスがありません。
ほとんどの視点位置は固定されているので主人公にボイスがありまん。
しかし、別の人物になるときもあります。

BGMは悪くないという印象。作風に合っています。
ジャンル的にはHR/HM系のBGMが多いでしょうか…。
しかし音がスカスカで打ち込みっぽい感じを受けます。

プレイした印象は、
かなりイマイチな作品です。

まず、プレイ開始時にシナリオの目的がハッキリせず、
何を目的としたシナリオかを把握するのが大変です。
会話内容は不毛であり、ドタバタ系のようで実質は騒がしいだけ…
という印象しか残りません。
そのため、面白味のない会話を延々と読んでいく…という作業に思えてなりません。
ゲーム序盤から、かなりヤル気の削がれる内容であったことが致命的です。

イベントにおいてもテンポよく進行し、
イベントを次々に展開していくゲーム進行には好感が持てますが、
実質描写不良であり、場面を把握するのにプレイヤーの努力を必要とします。

また、イベント間において話が飛躍する傾向があります。
描写不良のためにそういった事態になっているのですが、
登場人物が何をしたいのか、あるいは何を考えて行動しているのか…
というのが文章からは読み取れず、
場面だけが次々に変わっていく…という始末です。
イベントがプロットされた状態…という感が強く残ります。

内容的にも、
「追われているので逃げる」
というシチュエーションが多く、
更に不毛な会話パートと相まって、
似たようなシーンが続いているだけに見えます。

また、作風的な部分もありますが、
真剣味が全くなく、緊張感がありません。
そのため、各登場人物に危機感というのが感じ取られません。
追われていても、これでは単に
「鬼ごっこ」レベル
にしか見えないという稚拙な場面描写です。

シナリオの核となる部分から見るとシリアス…とも受け止められますが、
こういったチープな作風で台無しにしています。

私は、この作品においては、
(ゲームをコンプリートしたときの)最終的なネタの部分とシナリオ構成は素晴らしいと思います。
ただ、それを描写しきる技量が足りていません。
序盤からゲームの世界観に惹きつけられる作風であれば、良作に成りえたと思います。

追)ネタバレの日記にも書いていますが、
理論的な説明は不要だったと思います。逆に胡散臭さだけが残りました。
難しい説明がされているように思いますが、
論点がズレていると思います。


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以下、日記からのログです。ネタバレの可能性あり

2006/05/28
本命を先延ばしするのは私の性格のようだ。
「スカーレット」をやらずに
「七彩かなた-夏休み!ドキラブバカンス夢冒険!」をインスコしました。

というか、このゲーム…インスコの時点でナメきってるよ。
3.7GBもなぜ容量を食うんだ??
インスコ中…長いのでWMPで「BLIND GUARDIAN」のアルバム聞いてたら、途中でブルー画面直行だった。
クソ…こんなにPCに負荷がかかるなんて……

で、始めようと思ったら、すでに修正ファイルが出ていた。
…………55MBもあるなんて、アホ?

つーか、なんでこんな容量の大きいファイルをDLしろと…?
私、10MB以上のファイルはDLする気になれません

これだと、光を奨励ってな感じにしか思えん。
それ以外の通信手段の人を完全に無視した容量だな。

まぁ、泣く泣くDLしたけどね…55MBの修正ファイル。
「七彩かなた-夏休み!ドキラブバカンス夢冒険!」

まぁそんな経緯はほっといて、内容的に面白くない。
まだ序盤だけど、ヤル気がかなり削がれている状態。

シナリオの説得性がないし、緊張感もないから、
グータラとテキストを読む作業をしてるだけ。

ドタバタ?
これはちゃうやろっ!

単に騒がしいだけ。まだ「ひだまり」の方がドタバタ系。
BGMでかなり誤魔化されているし、
何よりネタが漫画にありそうなネタばっかで先が読めてしまって気分が萎える。
新鮮味が全く感じられない。

イベントも、前後の繋がりが弱い。単にプロットされたシナリオを読まされているだけ。
「なぜそういったイベントに発展したのか」
という説得力が欲しい。

これだと、アイデアに詰まったライターが、
「しょーがない…次は適当にこのイベントで繋げるか…」
というような感じで作ったとしか思えない内容。

あと、BGMがどっかのゲームの流用っぽい感じ。
このブランドの作品は初めてプレイしたけど、
もしかすると、同系列ブランドでBGMが流用されているのかもね。
で、千世ってどこ?パートナーブランドかと思ったけど…違うか……

主題歌は……今は無き夜逃げブランド「FILM SOFTWARE」が記憶に甦る(笑
「七彩かなた-夏休み!ドキラブバカンス夢冒険!」

1ルートクリア

……正直、何が言いたかったのか不明。
シナリオのベクトルがどこに向いているのか見当がつかない。
とりあえず、ひまわりのエンドなんだけど、ヒロインとの恋愛AVGというわけではなさそうだ。
エロシーンはありますが、お互いが好き合っているという雰囲気が感じられない。

かと言って、シナリオが重視されているわけでもない
イベントがプロットされている状態で、イベントからイベントに流れるときに話が飛躍している。
もう少し丁寧に描写してくれないと理解できないし、読もうと思う気力ももたない。
あと、状況描写がかなりおざなりになっている。
あの文章力では私には主人公達がどういった行動を起こしたいのか、
あるいはどういう行動を取っているのか…
ということが読み取れません。

ドタバタしているようですが単に騒がしいだけですし……
チープ感丸出し。

あと、同じ場面(風呂場)でひまわりの髪型が突然変わるのですが、アレはアカンっしょ。
髪型を変える猶予なんて場面的にあれへんけどな。

細かい部分では
「シーンサイティング」…英語のスペル間違ってない?
「siteing」になってるけど「site」自体が名詞だし、
他動詞扱いだったとしても「siting」っしょ。
まぁ、私自身英語に自信がないから確証がありませんが、私には間違っているとしか思えない。
というか、開発者って本当は「sighting」が使いたかったんじゃぁねぇーーーーーの?
「sighting」の方が意味が通るしな(大笑

それと、「プログレ」の意味わかってるんでしょうか?
「プログレッシブロック」。どーやったらあの場面で「プログレ」になる?
「七彩かなた-夏休み!ドキラブバカンス夢冒険!」

2ルート目クリア……

ウ〜〜ン……既に読む気がかなり失せているので、
ホント読む作業をしてるだけ。
内容的にあまり理解できんかった。
まぁ、書いてあることはわかるけどね。

にしても、ヒロインとの描写が薄い。
九菜ルートだけど、結局最後だけ。
なんか、どっかの漫画や映画にありそうな展開だな。最後。

内容的には閉鎖空間脱出みたいな感じの物語。
だけど、緊張感のかけらもなく、ノーテンキに会話をし続ける登場人物達に気分が萎えた。

基本的に「追われる」というようなイベントシチュエーションが多く、
どの場面も同じに見える。
いい加減、別の手法を使ってくれ……と言いたい。

段々…「また鬼ゴッコか?」
ってな雰囲気に包まれる。

それにそういったイベントのあとにノン気に海で遊ぶんだからな。
どーゆー神経してんでしょうか?
普通、そんな事態になったらそんなことする余裕がないっしょ?
だから緊張感のかけらもない。
描写も淡々としていて、場面的にどういった状況になっているかも把握し難い。
もう少し、プレイヤーに場面状況を伝える文章力を身につけて欲しい。
ライターだけの世界観を見せ付けられても非常に困る。

プレイヤーにいかに理解しやすい、あるいは把握し易い世界観を提供するのが、
メーカー開発側サイドの最低限の条件だと思う

高い金払って買ってるんだから、こんな作品出されても満足できるはずがない。
「七彩かなた-夏休み!ドキラブバカンス夢冒険!」

3ルート目クリア……
クリアするごとによって、新しい展開が付け加えられていく…という形式のようだ。
これはループモノに近いものを感じますが、厳密にはループモノではないですね。

まぁ、ルートの最初の方でデジャヴ…
という説明がされてますけどね。

何にしてもツマラン。
正直、このシナリオの核となる目的がイマイチ判っていない。

テーマパークの怪奇現象を調査しようとして、テーマパークに侵入
そして、狂ったロボットに襲われて、滅茶苦茶な説明が付け加えられて解決。
しかし、次はテーマパークごと平安時代にタイムスリップしてしまう。

そして…現代に戻る方法を模索するが…
という展開。

こういった内容なので、恋愛AVGの方向にはベクトルが向いていない。
しかも、ほとんど不毛な会話で塗り固められたシナリオなので、
あまりシナリオが進行しているという印象が感じられない。
そもそも、シナリオが進行しても、話が急に飛躍しているので、
理解するにも苦労する。

で、途中で現代に戻るのだが、そのままシナリオは続いていて、
そこからがイマイチ何を描写したいのか理解できない部分。
一応、ヒロインとの描写を絡めながら…なんですが…
何を描写したいんでしょうか?
相変わらずロボットに襲われてるし。

そもそも、説明に合理性を欠いている。
難しい説明すりゃOKという流れがあり、
読む気が失せる

最後、パラレルワールドを量子力学云々で締めくくられてしまった。
量子力学を変に胡散臭い学問にしないでください。

量子力学…そのまんまの学問のこと。
ミクロ世界の量子の力学の学問。
なぜ、胡散臭いパラレルワールドに繋げようとするのか…
正直、こういった根拠も無い説明が付け加えられると気分的に萎える。

確かに量子の世界は目に見えない…ということで
存在の確率を求めたシュレディンガー方程式というものもある。
これは、存在するかどうかは不明だが、
そこに地点にあるという確率を求める方程式である。

哲学的に見れば、
確かに目に見えないモノ=胡散臭い世界
に繋げることは可能かもしれない。
現にLASSが「FESTA!!」でやっている。

しかし、量子の存在を求めた方程式なので、出発となる定義自体が間違っている…
というのが私の考えである。
そもそも、量子力学自体、原子中の電子の存在に関する学問が基礎となっているからね

だから気分が萎える。
こういった説明より、まだ不思議な力でそうなった…
というようなファンタジーで帰結してくれた方がよっぽどマシだ。
「七彩かなた-夏休み!ドキラブバカンス夢冒険!」

4ルート目クリア……
夕日ルート。
……やっぱワケわかんない。
これまで散々書いたけど、目的としていることがシナリオから読めない
淡々と描写されていて、目的がサッパリわからない。
また、そういった事象に陥った原因もわからない。

そもそも、この物語の発端となる原因って何?
当初のシナリオの目的とエンディングの内容が一致してない気がします。
イベントを次々と発生させるシナリオ進行には文句はありませんが、
単にイベントが連なっているだけで、読んでいても面白味が無い。

まぁ、それで面白いと思う人もいるかもしれないけど、
私にとっては、物語として成立しているのかが物凄く疑問に思う作品です。

スキップしてぇぇぇぇーーー!

というか、この作品のレビュー…
書けない希ガス
評価は1点か2点だけど。

2006/05/29
「七彩かなた-夏休み!ドキラブバカンス夢冒険!」

ルートを重ねることによって、
しだいに真実がわかってくる…という展開のようだ

ただなぁぁぁぁ…
意味不明。

「我々生命体は無機的な情報の集合体だ」
から、説明が納得できません。

なぜ断言できる?
というより、それまで有機体で説明しておきながらなぜ無機体になるんだ?
正直、無機物が思考する石になった経緯が強引に思う。
絶対説明に合理性がない
っていうか、このシナリオ書いた人、何を勉強してた人?
その手の研究をしてたようには思えない。
「あ〜〜あ、やっちゃったよ」ってな感じ
タイムスリップを正当化しようとした結果がこれか。
もういいよ。気分的に萎えてるし。

全て輝石のせいにして、それで輝石の経緯がコレとはね…
変に学問的に説明したから胡散臭さ倍増。
テキストをマトモに読んだ私がバカでした。

しかも、ブラックホールがタイムスリップの温床になるなんて1960年代のSF的考え方やん。
ブラックホールは、超新星爆発が元となって、
エネルギーを大量放出した後のエネルギーが還元されるときの現象じゃねぇの?
大質量が…という考え方って古くないか?
というか、イマイチ理解できん。
質量が大きくなると引力は増すけど、なんで一点に凝集する必要がある?
というか、時間がなんで凝縮すんねん?(時間が質量を持ってたら別だけどな。まずありえない。)
仮に時間が凝縮したら単なる点になるんじゃぁ?
光も進まないから、何も進まないだけのような希ガス。

まぁ、ゼノンのパラドックスと50歩100歩?
……「アキレウスと亀」……
つーか、説明に全部繋がりが無いから、理解できるワケねーーーー

あとは、エントロピーと思考結晶の特異点の関連性がわけわからんぞ。

それとアインシュタインは量子力学で時間を変数にしただけであって、
過去に戻ることなんて言及していないハズ。

……マトモに反応している私がバカのようだ。所詮エロゲ。
ただ、私はこういった学問を小バカにした説明は大嫌い

だから、ファンタジー的な説明にするべきだと思う。
その点、タイムスリップ系のシナリオを書く桑島由一氏はわきまえてるよ。
「グリグリ」「Re:」など。やっぱタイムスリップ系はこうじゃなくちゃね……
「七彩かなた-夏休み!ドキラブバカンス夢冒険!」

終了。
長い道のりだった……
クソ同然のゲームインターフェイスで、時間が掛かった。

最後、ループモノだった。
終わり。

評価は1点直行。
理由:ゲームとして魅力がない。
ゲーム開始して、すぐに飽きたしな……
ラストは悪くなかったけど、コンプするまでに時間がかかるし、最後の部分だけでしかない。
正直、ゲームとして機能していないと判断。

これで9000円?
冗談じゃぁない。
私は値段にあったゲーム内容を希望。

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