かけた月は戻らない
CLOCKUP 2006/07/28
企画:橋野次郎 プロデューサー:ざぁ
シナリオ:橋野次郎/池かなた/迂闊早夫/関準/海原楓太 原画:あらいぐま/さっぽろももこ/石井彰
原画補佐:浜島重雄

治療と称した性行為を描いたエロ重視AVG。
しかし、その裏に隠された真実が……という内容。

戦時中…
主人公の元に差出人不明の手紙が届く。
主人公は、元親友で恋人を奪った人物・沢渡飛鳥の手紙だと思い込み、
復讐をするために指定された場所に赴く。
しかし、そこで待っていたのは不治の病の子供を引き取る『悲願華』の女主人・北条彩江だった。
北条彩江は主人公に、奇人病に掛かった少女達の身も心も慰めて欲しいという…
…という流れです。

その後は、
奇人病と鬼神の関係。
『悲願華』と鬼神の儀式との関係。
足利家と北条家の対立と、鬼神に纏わる関係。
主人公の元恋人・如月麻耶という人物。
そして、復讐の相手・沢渡飛鳥…
というのものが絡み合ったシナリオの展開になっていきます。

一癖も二癖もある登場人物達の思惑に押されながらも、
すでに奇人病に犯されたかもしれない主人公は、北条彩江の提案を受け入れることになり、
少女達に対する治療と称した性行為が繰り広げられます。

奇人病は、不治の病であり、末期症状になると性欲旺盛になる…という設定があります。
そのため、少女達が発作を起こすと、欲情している……ということになり、
そこからHシーンに展開して行きます。

シナリオは、大部分のルートをクリアすることによって全貌が見えてくる…という仕様です。
単一のルートでは、この作品のネタはほとんどわからないようになっています。
『悲願華』が建てられた理由、
主人公が呼ばれた理由、
足利家と北条家の確執と、足利家における村長と百合の思惑、
そして、鬼神伝説に則った奇人病の本当の姿……
そういったように一見単純なエロ重視作品のような雰囲気があるものの、
実際はその設定の説得性を持たせるようなシナリオ展開が主軸となった内容になっています。

Hシーンは、前半にもありますが、
前半はシナリオ背景を描写している傾向の方が強いです。
後半になれば、主人公の少女達に対する治療が始まり、
ここからはほとんどエロシーンの描写になっていきます。
治療の対象となるのは、姫路沙羅、白石香菜、夕張花月、沢渡琴音の4人であり、
その他のHシーンでは北条彩江や足利百合といった人物もあります

シーン数は1ルートを通せば15シーン以上あります。
ただし、中には描写が淡白なものがありますので、実質は半分くらいと見た方が良いでしょう。
また、CGの使い回しが目立ち、別シーンでも同じCGが続く…という傾向がありますので、
プレイした後でもそれほどHシーンが多かった……
という印象はありませんでした。
どちらかと言うと、同じシーンばかりを見させられているために作業的になってしまいます。

絵は、クセのある絵を3人の原画家によって描かれているためか、
キャラによって絵のタッチが異なるのが気になります。
また、立ち絵と1枚絵の塗りや絵柄に差を感じます。
1枚絵の方でクオリティが高いわけなんですが、もう少し立ち絵のクオリティが欲しいところです。
標準のレベルは軽くクリアしている絵ですが、
1枚絵と立ち絵のクオリティが違うとチープに感じます。
エロシーンが多いために1枚絵の表示は多いと思います。
ただし、同じ絵を使い回していたり、差分だったりしますので、
同一ルートをプレイする限りは、似たような絵が続くという印象を受けてしまいます。
立ち絵は3アングルの弱冠のポーズ違いで、表情違い…というパターンです。
変化は普通のレベルだと思います。

システム面は、エフェクトが切れないのが難儀です。
弱冠のレスポンスの悪さを感じます。
文字は見易く、テキスト送り自体は快適です。

ボイスは、主人公以外のフルボイス仕様です。
BGMは作風に合っていると思います。

プレイした印象は、
最終的なネタの部分では面白いと思いましたが、
それまでの過程がやや退屈、あるいはマンネリ…という感じです。

シナリオは、序盤から中盤にかけて、
奇人病、鬼神伝説、足利家と北条家…
というようにネタの前フリが上手く機能しています。
こういったモノが最終的なネタに繋がると判るような仕組みになっています。

しかし、いざ中盤に差し掛かると主人公による治療するパートに突入するのですが、
これが同じことの繰り返しで、
エロシーンが強調されている割には同じようなシーンが連続しているだけ…
というチープさがあります。
変化に乏しい…というのがお似合いの言葉であり、非常に退屈です。

ただ、最終的なネタを描写しだすとシナリオの面白さがあり、
前半に登場していたクセのある登場キャラ達が機能しだします。

『悲願華』と、奇人病、鬼神伝説、足利家と北条家…
といったような関係や、
更には、足利露子、足利百合、北条彩江や、如月麻耶、沢渡飛鳥…
という人物達の思惑と関係を上手く描き出し、
主人公に対して仕組まれた逃れられない陰謀を上手く描写しています。

そのため、ネタ的には面白いと思うものの、
そこに持っていく過程に惹きつけられる魅力がありませんでした。
動機付けなどは上手く描写されているだけに惜しい内容です。

単純にエロ重視作品と見るならば十分過ぎるほどの内容だとは感じますが、
肝心のエロシーンに満足できるかどうかは人それぞれ…になると思います。
シーン数は、かなり多い…と感じますが、
バリエーションに富んでいるかと言うと…そうでないと思います。


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以下、日記からのログです。ネタバレの可能性あり

※日記ログではありませんが
「かけた月は戻らない」ネタバレ記載


足利家と北条家の対立が発端となった物語です。
足利家は北条家の滅亡を謀り、村を牛耳ろうとしている。
そこで、村ぐるみで毒を製造していたのが足利家だった。
毒を造っていたのは曼樹里という女僧侶。

北条家は、北条彩江と主人公の元恋人・北条麻耶だけが生き残りであり、
その2人を殺せば北条家は滅亡することになる。
しかし、足利家の足利百合は北条家の麻耶にライバル心を燃やしているため(←多分)、
麻耶の恋人だった主人公を欲している。
そこで、百合は主人公が北条家の人間だと偽って(←多分。矛盾してるのでこう考えるのが妥当?)主人公を姫里村い招き入れることにした。
そのために沢渡飛鳥を利用する。

一方で村長である足利露子は、北条家の滅亡だけを願っており、
『悲願華』を作り、そこに鬼神伝説に則った4人の奇人病患者を置いた。
奇人病は、元々足利百合が患っていた病気であり、 『悲願華』の奇人病は足利家が作っている毒で犯された人為的な病である。
これは鬼神伝説にあやかったもので、伝説に則って正当な人殺しをする…という計画だった。

そして、北条彩江を使い、主人公を『悲願華』に呼ぶことに成功した。
そこでは、少女達の治療と称して性行為をさせる儀式…
更には、4人が子供を孕ませて鬼神の生贄とする……
ということで北条家を滅亡させる計画が練られる。

沢渡飛鳥は、主人公に恨みを持っており、予てから主人公を殺すことしか考えていない。
この鬼神伝説にあやかったのも主人公を殺すための計画だった。
そう、足利家を利用して計画を練っていたのは沢渡飛鳥だった。
しかし、百合に引き渡すことを拒んだために足利百合によって沢渡飛鳥は殺される。

更に、ここで足利家にイレギュラーな事態が発生する。
4人の内の1人が足利百合の子供だったことを、足利百合が知ることになる。
怒り心頭の足利百合は、村長の足利露子に反旗を翻し、
逆に足利家、そして村全体を滅亡させ、
鬼神伝説を自分の手で実行する計画に摩り替えたのだった……
これは、すでに本当の不治の病に掛かっている足利百合の自己破滅へのカウントダウンだった

そして、北条彩江は北条家の存続のために足利百合と手を結ぶことになる。

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