ウィズ アニバーサリィー
販売:CROSS NET、企画・開発:フェイバリット 2006/04/28
ディレクター:水間ホシひと
シナリオ:伽遠蒔絵/舞浜ののか/水間ホシひと 原画:司田カズヒロ/GT
キャラクターデザイン:司田カズヒロ SDデザイン・原画:ミズタマ

魔法学院に通う主人公。
そこで繰り広げられる試練をこなしていくうちに……という内容。

序盤から、学院生活のことが中心に描かれています。
基本的にドタバタ系のAVGという趣で、
大人数での日常会話…というのがメインとなって描写されていきます。
雰囲気的にも如何にもドタバタ系…という状況が醸し出されており、
快活で明るい作風というのが前面に押し出されている印象があります。
ただ、ギャグ系の面白さ…というものはなく、
やや騒がしいだけのドタバタ系という傾向が強いです。

イベントは、魔法に関することが中心です。
校長の出す試練をこなしていくわけですが、
未熟な学院生という部分でドタバタ系に発展していく傾向にあります。
イベントは、丁寧に描写されていますが、どうでもいいようなことが丁寧に描写されていて、冗長されてシナリオ展開のテンポが悪い傾向にあります。全体的にイベントを長く引っ張りすぎという感が強く残ります。

共通パートは、大体7割ぐらいで、それ以降はヒロインのルートに乗ります。
それまでのパートは、無駄な会話と無意味なイベントを長く引っ張るという傾向で、
シナリオの核となる話が中々見えてきません。

ヒロインルートは大きく3つのルートに分かれており、そして付随的に2キャラ分のエンディングがあります。主要女性登場キャラに全てエンディングを作っていますが、クオリティの差はかなりあると感じます。
3つのルートは
シナリオ重視…とも言えるような内容で、
1つは、ヒロインに関するお家騒動的な内容
1つは、勧善懲悪系っぽい展開の内容
1つは、主人公の出生に関する内容
になります。
それぞれのルートで弱冠ネタの被る部分はありますが、
3つのルートともに全く趣向の違う内容で、
それぞれ個別の物語として楽しめます。

作品は、ドタバタ系のシナリオが好きな人には向いているかと思います。
エロシーンも、最終的なシナリオの流れから見るとオマケっぽい位置づけです。

絵…ですが、CGの拡大機能は素晴らしいと思います。
通常、CGを拡大するとドットの荒さが目に付くのですが、
単純に拡大したのではなく1600x1200の画像を入れているんでしょうか?
また、1枚絵の表示が多いと思います。イベント絵もそこそこの数があります。
立ち絵の演出は上手いと感じます。
ただ、ポーズの変化が乏しい感じがします。ポーズは2〜3パターンくらいでしょうか?
背景は、絶対的に上手い感じはしないものの、
世界観を上手く表現している背景には見えます。背景パターンも多いと思います。

テキスト送りは基本的に快適ですが、時々レスポンスがやや悪い傾向があります。
特に場面の切り替わりがかなり遅いという印象を持ちました。
CPUの占有率が低い(常に10%以下)割には処理が重いです。
ゲームアプリだけが重いということで、
スペックの高いPCでは問題は無いですが、低いPCではどうなるかわかりません。
他のアプリを起動していて長時間プレイしていると最悪で、
CPU使用率が低いのにフリーズ寸前の状態に陥りました。
CPUの使用優先度を上げると、少しはマシになる気がします。
あとは、ゲームのマスターボリュームを0に設定するとかなりマシです。
他には、アプリケーションエラーで何度かゲームが落ちました。環境依存かもしれませんがアリスルートだけが落ちやすいのですが…?
更に、起動→終了を3回くらい繰り返したら、それ以降はPCを再起動しないとゲームが立ち上がらないという状況です。

ボイスは主人公以外のフルボイスという仕様です。
BGMは当たり障りのない音です。

プレイした印象は、限りなく普通の出来です。

ゲームはルートに乗ってからの後半に盛り上がるタイプで、
どうしても前半の展開が浮いたように感じます。
また、シナリオの部分においても突然展開が変わるという趣向があり、それも説明が冗長です。
必要な部分もありますが必要のない部分まで説明されている始末です。
どこが重要でどこが重要でないかの境界線が判り難く、
また、独特の固有名詞が多いためにプレイヤーが理解するのに努力を必要とします。
もう少し敷居を低くして、プレイヤーが理解しやすい方向に誘導するべきだと思います。

シナリオの向かうベクトルが幾つもあり、
それが全て中途半端に混ざり合っています。
シナリオが重視されているようで、最終的にはヒロインと結ばれるだけで終了している感があります。しかし、ヒロインと結ばれるにしろ、適当な理由付けというのが描写されていません。
突如エロシーンが発生し、そしてヒロインと恋仲になっているので、
恋愛AVGには到底思えない内容です。
そのため、シナリオを重視しているようで、していない。
ヒロインとの恋愛が描かれているようで、描かれていない…
…というどっちつかず…という感が残ります。
おそらく、シナリオを重視しながらもヒロインとの恋仲も描く…という理想を掲げているのでしょうが、空回りに思えました。

しかし、話の内容そのもの自体は悪くはないという印象を持ちます。
個人的には、もう少し簡潔さを出して理解し易い内容であったら、
もう少し心象は良くもてるのですが……


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以下、日記からのログです。ネタバレの可能性あり

2006/05/13
「ウィズアニバーサリィー」、4月の購入検討に書いたとおりの展開だった。

ラストにシナリオが動くタイプで、それまでがかな〜〜り退屈。
これは、前回書いたとおり、イベントを引っ張りすぎ。大したことのないイベントが長々と展開しています。
こんな状況だから、ルートに乗った時でも、既にテキストを読む気が失せてます。
正直、スキップしてないけど、あまり内容を理解していなかったり。

ルートに乗ったら、ドタバタ系の雰囲気はかなり弱くなります。
これは、ライターが複数いるんでしょうか?
前半の物語、ルートに乗ってからの物語…と作風が全く違います。キャラも前半ほどのでしゃばった感じがない…。
前半…なんであんなに不要なキャラを多くした?
という疑問が物凄く残ります。

〜〜エンフィ/シャルルート総括〜〜

エンフィの大公家に関するお家騒動の内容。
大公家の跡継ぎのエンフィだが、
継承者に必要な
カミルの杖
をシャルの父親(エンフィの姉の旦那)に奪われてしまう。
そのため、正当な跡継ぎではない。
また、正当な跡継ぎになれない理由として、女であること。そのため、男装している。

というようなことが背景になっています。

シナリオ的にはあまりしっくりこないというか……
説明的な部分が多いし、固有名詞が多いので、あまり読む気にならない。
もう少し、プレイヤーが理解しやすいように誘導するべきです。
上記のシナリオ背景ですが、やはり話の内容が一方的で、
ライターの自己満足の世界を描いているだけに思います。
最終的な展開も、アレはちょっと……という展開。
シャルの父親がカミルの杖を奪った理由は、少々納得がいかない。
というか、最終的なシナリオの流れから言っても、円満に解決しているとは思えない。
カミルの杖に関する部分が途中で終わっている気がします。
また、エンフィルートもシャルルートも、
単にヒロインと結ばれて、それがエンディングに描かれているだけ。
それまでに一生懸命ライターが努力して積み上げてきたシナリオの展開が台無し。
つまりは、話の内容のベクトルの向きが一定方向ではなく、
一つは、
シナリオを重視した内容
もう一つは、
ヒロインと結ばれる展開
という2つのベクトルがエンディング間近で発生しており、その方向が全く別方向を向いている。

そのためラストは強引にまとめた…という感が強く残ってしまう。
また、ヒロインと結ばれる動機は全く描かれておらず、エロがあってそれでOKというような流れ。もう少し丁寧に描いて欲しい。エロに至るまでの経緯ぐらいは丁寧に描写するべきです。

エンフィ/シャルルートはほとんどが共通パートであり、
違うのはエロシーンとラスト間近の展開のみ。
前半からの流れを見ても、後半でシナリオが動くタイプのため、内容が薄く感じた。
不要な箇所が丁寧に描かれている傾向が強く、変に冗長されているだけ。

個人的には、内容的に惹かれる要素がありませんでした。
カミルの杖に関することが、期待外れでした。
やるなら勧善懲悪系の内容にしてくれた方がマシ。
下手にシャルの父親の肩を持ってしまった展開にしたのがライターの失敗だと思う。
〜〜ローラ/ソフィアルート総括〜〜

昏睡事件。主人公が犯人として見られる
変貌したローラ……

ネーブル司祭が首謀者
ローラは既に死んでいて司祭が甦らせることによって司祭の人形になった。
主人公と、ソフィアが変貌してしまったローラに立ち向かうという内容で、理解しやすくとっつきやすい。
シナリオの流れも自然。
ネーブル司祭の野望の前にローラが自我を取り戻すという流れ。

ソフィアエンド
は、ソフィアのエロシーンに入るのは自然に見える。
ただ、エンディングはなぁ…
それまでの流れがローラ一辺倒だったから、ソフィアの存在感自体が薄い。

ローラエンド
まぁ、ローラのためだけのシナリオの流れだったからね……。
このルートは、理解し易い内容でよい感じだった。
何より、司祭悪者にしたことで、目的もハッキリとした内容だったし、エンディングもエンディングを迎えた…という満足感がエンフィ/シャルルートよりも強い。
こういった単純明快な話にしてくれる方が面白いよ。
ただ、共通パートが長い……
ローラ/ソフィアの両エンドに向かうにしろ、95%くらいは共通パートのような気がします。

ローラ/ソフィア、エンフィ/シャルの共通パートは7〜8割ぐらいかな。
〜〜アリスルート総括〜〜

……正直なところ、理解できません。
状況的に置かれている立場がサッパ〜〜リわかりません。

校長、大賢者が主人公とアリスの立場に大きく関わっている…らしい…?
アリスは主人公の対となる存在らしいけど、この辺が理解できない。
主人公の力を抑えるように、校長や大賢者が仕向けたとあるんだけど、逆にアリスが暴走しているのがわからない。

一体、何なんでしょうか??
おバカな私に理解できるように判り易い内容を提供してください。

なんか、最後は聖書の始まりのような感じの終結の仕方ですね…
全てを無にして始まりを作るという……
まぁ、アダムの話があるから、創世記の話を作りたかったんでしょうか?

どうも、このルートがこの作品のメインルートのようです。
〜〜ディアナルート〜〜

エロしかなかった……
内容?
薄過ぎる……

何か…物凄く両極端な作品ですね。
〜〜グラニテルート〜〜

ロリキャラ。
萌え(?)とエロが重視された内容…かな?
薄い内容。
ディアナルートとあんまし変わらん。
「ウィズアニバーサリィー」終了。

まぁ、良くもなく悪くもなく…という感じ。
ムダに長かった…
あと、プレイヤーに理解し易いようにして欲しい。単にライターの自己満足な世界が描写されただけに終わってしまって勿体無い気がします。

アリスルートが理解し易い内容だったらね…心象は変わったかも。

それと、前半のパートにムダが多い。
イベントを引っ張りすぎで、テンポが悪い。
それでいて、後半のキャラルートは一部(ディアナ/グラニテ)を除いて、理解しにくい内容になっています。
原因は、ゲーム固有の固有名詞が多いこと。
あと、説明に無駄が多くて重要なところと、そうでない部分の見分けがつき難い。だから、ダラダラと説明されていて読む気が失せます。
だから、理解できなくなってしまいます。
本当はちゃんと読めば理解できるのかもしれませんが、
自分から進んで理解しようとは思えない内容です。だから、この場合はライターが譲歩して理解し易い内容を提供するべきだと私は考えます。

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