夢見ヶ丘の近くに住む主人公達。その夢見ヶ丘が開発でなくなってしまうという。それを阻止しようと…という内容。

田舎を舞台にしたマッタリ系のシナリオです。夢見ヶ丘を守ろうとする理屈付け・目的がハッキリしており、わかりやすい内容でした。シナリオの起伏・抑揚があるわけでもなく、展開もマッタリしています。これは、ある意味田舎の生活…という部分を意識しているのかもしれません。
この物語は写真…というものを通してシナリオが描かれています。夢見ヶ丘の綺麗な写真を通して開発を思い留まらせるという部分と、主人公に関係している事柄の要因が入り混じっているのですが、そういった主人公の心理描写が上手く表現できているシナリオです。

絵は…1枚絵は弱冠デッサンが狂っている感じのもあります。立ち絵にバリエーションはありますが、変化は乏しくどちらかと言うと表情違いの方が変化が大きいです。

システム面では、さほどストレスは感じません。テキスト送りも快適でした。ただ、フォントの設定が悪いのかやや文字が見難い傾向があります。もう少し、バックの透過度を変更できたり、あるいは文字色を変更できる設定が欲しいところです。

ボイスは、主人公以外のフルボイス仕様。女性キャラは合っている…という印象はあります。
BGMは作風に合っていて良い感じです。

プレイした印象は、普通の出来です。
プレイヤーに何か訴えかけてくるライターの熱意が伝わってくるシナリオです。しかし、致命的に面白くありません。退屈なシナリオという印象しかもてません。やはり、こういった田舎を舞台にしたマッタリ進行のシナリオはよほど面白いものを提供してくれない限り、難しい題材かと思います。ただ、これでもかなり健闘している…というものは伝わってきますが。
エンディングは、ヒロインと結ばれる…というところではハッピーエンドなのかもしれませんが、シナリオ自体としてはハッピーエンドではありません（一部のルートを除く）。夢見ヶ丘が変化する現実を覆せないが、そこでの経験・思い出は変わらない…という部分に終結するメッセージ性のあるエンディングは中々良い感じでした。よって、エンディングはかなり良い出来であるのですが……やはり途中の過程がやや退屈である……というのがこのゲームの傾向かと思います。
また、出来が良かったのは、神楽ゆめ、平井純子のルートで、松本美弥加や高桑杏ルートは夢見ヶ丘という設定が不必要なシナリオであるため、大した面白味を感じないシナリオでした……