主人公の体に異星人が寄生。その異星人を助けようとする異性人達との争い…という内容。

昔懐かしい「せんたい（戦隊）ヒーロー」モノをヒロインが演じている…というような内容で、シナリオ的にはチープ感の拭えない作風です。しかし、逆に軽いノリのヒーローモノ…というような感じで、それを学園系AVGとして絡めてみました…というところでしょうか。
笑いを取るようなドタバタ系ではないものの、馬鹿さ加減を逆手に取ったような作風で、微笑ましいぐらいの低脳さを堪能していくシナリオです。そのため、あまり深くは考えずに気楽にプレイできる作品でしょう。
シナリオは、ヒロインが集まる練マ愛好会を中心にして、彼女達が異星人から主人公を守る…という展開になります。これは序盤から一貫した内容なので、これがシナリオの核になります。一方で主人公は、身体の中に異星人が入り込んでしまうのですが、シナリオの進行上の話であって、このゲーム設定においてはさほど活かされているような感じは受けません。
また、日常的な部分が中心になってシナリオは描写されていきます。このパートと異星人との戦いが交互にくる…という展開が主になります。
ラストは、ややシリアスな展開になりますが、この作風に合っているかどうかは……人それぞれでしょう。
エロは、シナリオの前半から適度に発生します。回数的にも1ルートを消化するには多い方かと思います。ただ、シナリオ構成はほとんどが共通パートになるため、エロシーンも共通パートに含まれます。

絵は立ち絵の塗りが少しイマイチに見えます。1枚絵も少し実線が目立つようにも見えます。ただ、決して悪いとは思いません。十分美麗の範疇にあります。立ち絵のポーズは3パターンぐらいですが、立ち絵の変化はあまり感じられません。
ビジュアル面では、作中を通してイベントCGを適度に挟んでいるのが好印象でした。エロシーンは、1枚絵のCGのエロシーンとCGアニメの2パターンあります。ZyXでやっていたのと全く同じ手法です。CGアニメはアニメとしては美麗ですが、動きは単調です。個人的には、動きは単調でもそれを補う美麗さ…という部分をこのブランドには期待していたので、（期待通りの出来という部分においては）このブランドの姿勢を賛辞します

システム面は、CD Brosのインターフェイスとさほど変わらない気もしますが、この作品には既読判定が無いのでスキップは強制スキップしか出来ません。一方でインターフェイスは軽いですし、テキスト送りも快適です。
一番の難点は、メッセージウィンドウの色が変更できないのが致命的です。グラデーションが掛かっており、文字が物凄く読み難いです。こういった部分でユーザーへの配慮が欠落していると思いました。

ボイスは主人公以外のフルボイスという仕様です。
BGMは、全体的に軽快な感じで良いと思います。

プレイした印象は、限りなく地雷に近い出来です
ゲーム前半の軽いノリの部分では、割り切ってプレイできる内容でしたが、後半で変にシリアスな方向に持っていったためにゲームに惹かれる要素が薄れてしまった…という印象を持ちました。
練マ愛好会と異星人との戦いですが、緊張感は全くありませんし、真剣みも足りません。どちらかと言うとお笑いっぽい感じで、コミカルなヒーローモノを狙ってる…というのは作風から感じ取れます。しかし、徹底した面白さ…というのがありませんので、中途半端な印象を受けてしまいます。また、パターンが毎回同じような傾向になるので、さすがに飽きてきます。
日常のパートは、会話を楽しむ…というより、エロシーンの方が目立っている気がします。エロシーンに入るにしろ、前後関係がなく突然発生した…という印象を受けます。
根本的にシナリオはテンポ良く進行しますが淡々とした描写であり、主人公視点の主観性が感じ取れません。また、描写不良によってイベントが突如として発生する感は否めません。しかし、内容的に判り易い…というのが唯一の救いです。
登場キャラが少し多いように思います。こういった戦隊モノの法則に則り5人のヒロインを用意したことがムダになっていますし、異星人側のキャラもムダに多い印象を受けます。こういったエロゲでは単に人数が多いだけで、キャラの特徴が全く活かされないまま終わってしまいますし、多過ぎて各キャラの印象も薄いです。
全体を通して見れば、エロシーンが随所に描写される…という部分を考慮すると、ノリの軽いAVGでエロシーンに期待する人向け…ってところでしょうか。お気楽AVGという感じはあるので、気構えることなくスッキリ終わりたい人には向いていると思います。

個人的には、この作品は惜しい部分はあると思っています。もう少し馬鹿さ加減を前面に押し出して欲しいですし、ドタバタならドタバタ系らしく徹底した作りが欲しいです。今作では全体的に中途半端な雰囲気が前半から漂っており、そういった部分で序盤から飽き気味でした。
あとは、アニメの部分で、ZyXの頃のものをそのまま継承していることは嬉しい限りです。次作品は期待します