Tears to Tiara 〜ティアーズ・トゥ・ティアラ〜
Leaf 2005/4/28
シナリオ:まるいたけし/枕流/三宅章介 原画:古寺成

アーサー王伝説を主軸とし旧約聖書(ヨハネの黙示録)の内容を融合、そして宮崎アニメ風にまとめてハッピーエンドにしました……という感じでしょうか。

内容はシナリオを前面に押し出したSRPGです。シナリオが重視されているので、戦闘パートはさほど重視されているようには感じません。難易度を”普通”でプレイしましたが、かなり簡単です。
シナリオは良い雰囲気ですが、進行中は緊張感にやや欠けます。ドタバタ…とは違いますが、それっぽい雰囲気はあります。そのため、やや稚拙な印象を受けてしまいます。
ゲーム前半のオープニングに近い部分はシナリオがテンポ良く進行するので、ゲームの世界観に間単に入れる感じがします。しかし、城内を散策する辺りからシナリオの展開が遅くなり、日常的なパートが多くなるのでかなり退屈に感じます。特に中盤辺りは意味もなくエロシーンばかり強制的に続くので、ダレます。
後半はかなり良い展開でした。物語もアーサー王の伝承が如実に描写されますし、キリスト教の堕天使ルシュフェルが悪魔王サタンに堕ちる様が人間側の視点から描かれているようにも見えます。
シナリオは基本的な話の流れとしては上手くまとめられていると感じます。ケルト神話とイスラム神話(旧約聖書/バビロン神話等)の伝承を融合させるという手法ですが、シナリオの本筋に矛盾点を感じませんし、良い出来だと思います。あとはキャラの設定がしっかりとされているところが賞賛に値します。キャラの個性がシナリオに上手く反映されています。
シナリオは1本道で分岐は全くないという仕様です。おそらく矛盾点を出したくないためだと思いますが、せっかくアーサー王の物語を題材にしているのに勿体無い感じは受けました。


絵は立ち絵と1枚絵の出来に差を感じます。キャラによっては立ち絵がかなりイマイチに見えます。キャラデザも良い……とは思いませんが。

システム面については、ほとんどストレスはないです。ウィンドウモードでプレイできることは賞賛できますし、テキスト送りについてもさほどストレスを受けることもないです。
ただ、セーブするタイミングが限られているのが難点です。どこでもセーブできるという仕様が望ましいです。

ボイスは主人公を含むフルボイスという仕様です。キャラに合っていて良い感じですし、上手いと思います。
BGMは作風に合っていて良い感じです


プレイした印象は、文句なしに良作です。
ゲーム性…という部分を見ればかなり疑問に思う作品ですが、それを完全に補うシナリオの良さ…があります。確かに、目新しさという部分は皆無に近いですが、ゲームとしてキャラを上手く作り上げているという印象が強く、感情移入し易い内容かと思います。特に後半部分では泣いてしまいました……
残念なのは、中盤部分のイベントで飽きてしまうことでしょうか…。戦闘自体がかなり簡単に終わってしまうのに、シナリオが中々進行せずエロシーンばかり見せられるので、正直これでは中ダルミします。
エンディングは古き良き時代のRPGという感じのエンドです。
アロウンかアルサルかで、エンディングの傾向も違ったんでしょうが…結局は予定調和のアルサル系のハッピーエンドで完結します。
希望としてはアーサー王伝説にある悲痛なエンドに期待したのですが。

戦闘パートですが、戦闘難易度を選ぶことができます。実際には”普通”でプレイしたのですが、かなり簡単です。もう少し難易度を上げた方が面白いかもしれません。戦闘はほぼオートで行けますし、足りない部分を命令するだけで終わります。戦闘スピードが上がるなら難易度も上がったんでしょうが、プレイした普通では戦闘スピードが遅いので、キャラを操るのも容易いです。
そのため、難易度を”無理”にしないとゲーム性が確保できないかもしれません。
戦闘パートを簡単にしているのが傭兵というシステムで、バランスとして前半で弓使いばかりでパーティを構成すると戦闘が簡単に終わります。そして後半、魔法が強力になる魔法使いでパーティを構成すれば戦闘は簡単でした。経験値の取得が敵のレベルに依存しているため、レベル稼ぎという単純作業のわずらわしさがかなり軽減されていると感じます。そのため、戦闘パートがあっても十分シナリオに集中できる内容でした。ただし、ゲーム性という見地から考えると、かなり低いゲーム性だと思います。ゲーム性を重視する人には向いていません。


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