MOON CHILDe
SIESTA 2005/12/9
シナリオ:林ふみと/久弥直樹/眼鏡友の会/E.C 原画:雨音響/ゆきうさぎ

ナトメア感染症の主人公。ナイトメア感染症が集まる学園に転入するが…そこで…という内容。

序盤から中盤にかけて意味深な展開が描写されています。ナイトメア感染症、そして学園が主人公を誘致した意義、そして、ムーンチャイルド、PHANTOM…。このゲームにおける伏線となる事象を上手く緊張感ある展開で描写しています。作られた世界(フィクション)でありながら複雑性、難解性な部分はなく、上手い具合にプレイヤーをこの作品の世界観に誘っている作りです。登場人物も序盤から多く出てきますが、役割があからさまにハッキリしているので、混乱することもなくシナリオに集中できます。
中盤から後半にかけては、ルートによって、シナリオの色がかなり異なります。

メインとなるルートは、強引にミステリーっぽい方向性に持って行っているように感じます。また、弱冠作品の雰囲気が変わり、それまで希薄だった学園生活が突如として描写され始めます。学園を舞台にした作品ということで、シナリオ上の違和感は受けせんが、やはり序盤からの流れがストップしてしまうことは否めません。
後半は、プレイヤーが呆気に取られる程の壮大さ。これを呆れると感じるのか、面白いと感じるかでこの作品に対する印象が大きく変わるかと。内容的には、皆既日蝕にちなんだよくある世界終末論的な内容でそれを食い止めるために頑張る…という話です。

それ以外のルートは、序盤のゲーム設定を利用したヒロインとのドラマ性を重視した内容です。この作風は後半まで続き、最後は感動系…っぽい感じです。これらのルートは、ルートに入ってからの物語を楽しむ分には十分ですが、全体を通してみれば序盤に散りばめられた伏線の数々が意味もなく無駄になっています。これは、明らかに複数ライターを使ったマルチエンドシナリオの典型的な失敗ですね。


絵は、良い出来です。塗りに弱冠のクセがありますが、美麗と認識できるレベルです。立ち絵のバリエーションは2〜3種であとは表情違いです。テキストと立ち絵の表情の連携がイマイチな部分もありますが、ビジュアル面においてはさほど不満は感じません。1枚絵はシナリオの世界観を上手く表現できているとは思いませんが、ゲームとしては標準以上のものは提供していると感じます。

システム面でのストレスは感じませんでした。テキスト送りも快適ですし、エフェクトも切れるので快適にプレイできました。

ボイスは主人公以外のフルボイス仕様。BGMは作風に合っていて良い感じです。


プレイした印象は、良作〜普通の限りなく普通に近い出来です。
余分な記述がなくテンポ良く展開するシナリオ進行に好感が持てました。作風も程よい緊張感があり、作品の世界観を上手く表現していると感じます。しかし、場面展開が早すぎる…というのも考えモノで、いつの間にか日付が変わっています。つまりは、イベント発生からそれを終了させるまではテンポが良いのですが、各イベントを繋ぎ合わせる手法が拙く感じました。もう少し、プレイヤーにゲーム中の時間の流れを把握させるような作りにするべきだと思います。
主人公の心理描写がかなり足りていない…という印象を持ちました。必要最小限というような記述のためか、主人公の心理描写も必要最小限という印象です。こういった部分で、メインルートの後半のミステリアスな部分においての緊迫感…というのが感じ取れません。ややミステリーっぽいのですが、こういった完全なミステリー作品に感じない…という部分がやはり描写不良に関係しているかと思います。もう少し、焦燥感や悲壮感といった絶望的な描写が必要です。この作品においては、そういった部分が足りないばっかりに、主人公がかなり余裕のある心理状態に映り、やはり結果として予定調和なエンディングに終結してしまう結果に導いています。

メインルートの後半の流れは序盤からこうなる…とは予測していましたが、結果的に何の捻りもないSF小説という感じです。ある意味、少女マンガっぽい感じの(皆既日蝕=世界滅亡という)根拠もない終末の展開が描写されているだけでした。
サブシナリオは、序盤の展開を完全に無視した展開で、序盤の壮大なストーリー性を期待させる展開が、かなりジンマリしたドラマの終結……ということで、かなり肩透かしを喰らった気分になります。ただ、ルート分岐してからのその部分だけを見れば、シナリオのドラマ性としてはそこそこ秀逸(ルートによっては駄…)であるので、やはり、序盤からの展開の接合性をもう少し考えて欲しいと思います。


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