雪影 -setsuei- | |
Silver Bullet | 2006/3/24 |
企画・原案・監修:田中ロミオ | |
シナリオ:日野亘 | 原画:むつきほたる |
日本の昔話・伝承を題材にして、その昔話・伝承に隠された真実は……という内容のAVGです。 行方不明の父母が発端となり、住んでいた雪国の田舎から東京へ。しかし、突如として現れた姉・深雪のことが気になり、毎年冬になると元の実家に帰郷する…という流れになっています。 |
絵は、お世辞にも上手いとは言えません。構図の取り方やアングル位置が素人目に見てもイマイチで、どちらかと言うと下手です。塗りもあまり良い印象は受けません。 システム面は、ほとんど不満は感じません。テキスト送りも快適でした。 ボイスは、主人公以外の主要人物です。キャラに合っていて良い感じです。 |
プレイした印象は、限りなく普通に近い出来です。 文章は簡潔で回りくどい表現がなく、テンポ良くシナリオが進行します。こういった点では、原案の田中ロミオ氏らしい文章構成ではないので好感が持てます。描写もシナリオの核となる部分が描写されていますので、余分なイベント描写というのがほとんどありません。また、イベントの前後関係がしっかりとしている内容ですので、純粋に作品の世界観に入り易い…という印象を持ちました。 日本の昔話・伝承を扱ったシナリオに陥り易い傾向は、ライターの自己満足な説明をダラダラと述べられることが多いのですが、この作品に限ってはそういったことがありません。一応、昔話の見解や説明は描写されていますが、簡潔で判り易い内容です。また、ゲームプレイヤーに理解し易いような”たとえ”を用意しているため、プレイヤーのことを配慮した内容であることが感じ取れます。 私的には、かなり惜しい出来だと思います。もう少し何かしらの工夫をすれば良作に成りえたと感じます。 |
2006/03/27 |
「雪影」やってます 正直、期待していたモノとは違いました。 シナリオの内容からすると、田中ロミオらしいシナリオだと思います。 ライターは田中ロミオではないので、回りくどい表現がない…という所に好感が持てます。私は、田中ロミオ氏の文章が好きではありません。そういう意味で、この作品はテンポも良いので、文章構成からすれば私に合っています。 ただ、イベントはあるけど、展開に起伏がありません。 こういうところが正直、面白いとは思えません 勿論、つまらない作品とも思わないけどね。 普通の出来か、少し良いぐらいかな…… まだコンプしていないけど、 深雪のルート この作品における霜神の伝承に則ったシナリオの流れになっています。 霜神の伝承とは、山に迷い込んだ男と子供を作り、春になると子供と伴に帰す…とあります。 流れとして、深雪とひたすらH。そして(子供を孕んで)いなくなってしまう……というパターン。 まぁ、「まんが日本昔ばなし」の大人バージョンみたいなモンでしょうか… 教養番組であれば、教訓みたいなもんがあるんでしょうが、 この作品は、「有難い教訓」を「捻じ曲がった家族愛」に置き換えたようなものですね。 「捻じ曲がった家族愛」…と判断したのは、発端は姉と弟という関係。 しかし、主人公は本当の姉弟という関係ではないと気付き始めるが、今の関係を壊したくない一心に、深雪という存在を繋ぎ止めたくなる。そして、体の関係を持つようになる…… ってな感じかな。 捉え方によっては、単純に雪女(霜神?)の深雪に魅了された……とも考えられるけどね。 でも、主人公は深雪のことを深く知ろうとするのを放棄して書庫には行かなくなるから、深雪と生活する日常を壊したくない…と私は判断します。 コンプしていないので、何とも言えないんですが、現状では何を主張したいシナリオなのかが理解できません。 エンディングを迎えても、「へぇー」で終わってしまいます。心に残らないと言うか…印象が薄いと言うか……。まぁプレイする人によっては面白いかもしれないけど、私には盛り上がりに欠ける作品ということで、あまり良い印象は受けません。 |
2006/03/28 |
「雪影」終わりました 内容的には…最終的にはそこそこ面白かったです。 ネタも徐々にわかっていくという仕様でした。そのため、昨日日記に書いたことは全く当てにならないです。 霜神の伝承も、昨日書いたことは表向き…な内容でした。実質は全然違っています。 こういったことは、日本の伝承によくあることで、1つの事象にも二面性がある…ということですね。 この作品の場合、人として禁忌に触れる事柄を覆い隠すために霜神の伝承を作った…という流れになっていました。 深雪の存在も「雪女」とは全く違っていて、ルートによっては「雪女」ということを物凄く強調して終了するので、昨日私が日記に書いた通りの勘違いをしてしまいます。こういった勘違いを引き起こすのは、多分ライターの思惑なんでしょうけど、悔しいですがそれにまんまとハマってしまった…ということですね…… この作品は、コンプすれば…「なるほど」と思わせるシナリオの展開になっています。そのため、最終のトゥルーエンド以外は、トゥルーエンドのための布石になっています だから、鈴間紫子以外のヒロインエンドがありません。また、鈴間紫子のエンディングも正直なところ、全体の流れから言うと不要だと思います。 評価はどうしようか迷っていますが、6点か7点になると思います。 理由は、全てのエンディングを見れば、そこそこの面白さがある。 しかし、そこに至る過程に面白さがない。 ということです。 これは、昨日の日記に書いてある、「心に残らないと言うか…印象が薄いと言うか……。」と思ったことに起因しています。要は、最終的には心に残るものがあるけど、その部分でしかない…ということです。 |