エロ重視のメイドさん系AVG。

館を購入するとメイド（フェイナ）が住んでいた。フェイナは館が分離した精霊で記憶をなくしている。そして主人公とHすることによって記憶を取り戻していく…というかなり強引な設定があります。そのためゲーム序盤から、
・館の住人達との日常会話
・マップ上の行動選択（住人との会話）
・フェイナとのH（強制ではない）
というパターンを1サイクルとし、この流れが終盤まで続きます。
この構成はラストまで続くためにプレイ開始からラスト周辺まで同じ作業を繰り返しているだけという感は否めません。また、上記に挙げたシナリオ設定ですが、エロを目的とした設定だけの解釈であり、結局フェイナの記憶を甦らせるというのは、ゲームシナリオの核となる設定ではありません。
館の住人との日常的な生活のパートは、ドタバタ系という感じは無く、シナリオ上においてもあまり関係の無いことが長々と綴られているだけです。回りくどい表現はありませんが、根本的に長いためにダラダラと進行する印象を受けます。つまりは不毛な日常会話を延々と楽しむという仕様になっています。また、そういった行動のサイクルを繰り返している間は、イベントらしいことが起こらずに、結局何もないまま終わってしまうという感じです。
展開に起伏はありませんし、平坦なシナリオ進行です。そのため、序盤から作品に惹かれる要素が捜しても見当たりません。
シナリオはエンディング間近で一波乱ありますが、エンディング間近という部分でしかありませんし、それも波乱と呼べるかどうかも怪しい内容です。根本的に起承転結がありませんし、エロを重視した作品といえます。

1枚絵はほとんどエロ絵です。イベントCGはありますが、シナリオの長さから見ると皆無に等しい数しかありません。エロ絵は差分CGが多く、フェイナのHシーン以外（ヒロインのHシーン）でも、同じCGが使い回されている傾向にあります。
立ち絵のポーズは1〜2パターンの表情違いになり、ほとんどはアングルが同じです。立ち絵ですが、キャラの目線の向きが正面ではないためにかなり不自然に見えます。
絵自体は好みが分かれる絵だと思います。個人的にはキャラの体系が綺麗に見えないのであまり好きな絵ではありません。

システム面では、画像エフェクトを切っても、立ち絵の演出効果が切れるだけで、場面切り替わり時が遅いままです。そのためストレスを感じました。テキスト送りについては問題を感じません。

ボイスは主人公以外のフルボイス仕様です。しかし、一部のキャラは声に違和感を受けます。
BGMは作風に合っているという印象です。

プレイした印象は、限りなく地雷に近い普通の出来です。
SRIUS作品”魔法はあめいろ？”という作品では、日常的な部分でドタバタ系の雰囲気が上手く伝わってきた作品で、さほど悪くはないという作風でしたが、今作においては前作のメリットを受け継がれなかったというのがひじょうに残念です。”魔法はあめいろ？”を面白いと感じた人が、今作に求める方向性はこういった作品であるのか？…という部分があると思います。確かにエロを求める人には好都合かもしれませんが、エロ以外に期待するものは何か…という部分においてメーカーは再考するべきだと思います。
この作品は起承転結がなくエロ重視という作品なのですが、エンディング間近だけシナリオがマトモという作りは”終わり良ければ全て良し”という安易な考えで制作しているとしか思えません。また、エンディングも予定調和な展開で面白味を感じません。というのも、主人公たちに決定的な危機感というものが作品から伝わってこないためです。
ゲーム序盤においてもシナリオ設定が一応成されている割にはシナリオの核となる部分が見えてこず、全体を通して見れば最終的に何を描きたかったのか理解できません。普通に恋愛AVGというにしろ、エロ重視作品というにしろ無駄な部分が多いという印象を持ちます。
結局、大人数との日常会話を楽しみたい人向けということでしょうか…？
エロシーンは回数的には物凄く多いですが、単なる作業にしか思えませんでした。