ピアノ〜紅楼館の隷嬢達〜 | |
高屋敷開発 | 2006/08/11 |
シナリオ監修:山田一 | プロデューサー:三村夢武 |
シナリオ:万場拳 | キャラクターデザイン・原画:肥後正国 |
物語を通して、ヒロイン達が本当に大切なものを見つけていく…という内容のAVG。 交通事故で両親を亡くした主人公は妹の高城美羽と一緒に香港に住む叔父・高城武実に引き取られることになる。 そこで、主人公は父親が調律師(雌奴隷の調教師)をやっていたという衝撃の事実を知る。 叔父・高城武実は主人公に父親の跡を継ぎ調律師として、女性を調教するように…… という流れです。 調教の相手として、 高飛車なエリザベス・プランタジネット、 本心がどこにあるのかわからない李香蘭 の2人がターゲットとなります。 また、屋敷の下働きをしている林黛玉と、 調教の助手である林紅玉もターゲットの内に入っていきます。 この後、調教と称したエロシーンが続きます。 シナリオが動き出すのは後半のラスト付近であり、 傾向としてはどれも似たり寄ったりの感じはあります。 エリザベスルート以外では、主人公を愛するが故の…という展開であり、 エリザベスルートは、全てを失った故の…展開となります。 また、個別ルートでは、完全にシナリオが完結しているわけでもなく、 謎の部分を残して終了します。 この謎の部分は、シナリオ中に伏線として描かれているので、推測は可能です。 しかし、最後に真実を描くルートが描写され全ての伏線が回収されます。 これは物語の発端となる部分にも関与しており、 結局は全てのシナリオをクリアすることが前提となる作品と言えます。 作品の雰囲気は、シリアス路線のためか、明るい雰囲気や楽しい雰囲気などはありません。 また、調教系…というにも、陰湿な感じはありません。 エロは、シーン数はそこそこ多い方だと思います。 しかし、描写が非常に淡白なためにエロには期待しない方が無難です。 Hシーンが発生しても、どのシーンもすぐに終了します。 ゲームは、調教…というには御粗末な内容であるため、 エロ重視作品…というわけではありません。 シナリオ的にも、 主人公はヒロインに”自分の意思・判断”というものが大切だと訴えかけている前向きな内容です。 |
絵は、クセのある塗りでややチープな感じです。 影の付け方などが不自然です。 また、全体的に淡い感じはするのですが輝度がありません。 1枚絵は、エロ絵が中心です。 構図…というより、アングル位置がほとんど似たり寄ったりで、 あまり多彩な絵には見えません。 また、エロシーンの場所のほとんどが地下室…という設定のため、 変わり映えしない背景のために似たような絵が連続する…という強い印象を受けてしまいます。 立ち絵は、3アングルの弱冠のポーズ違いになりますが、ほとんど2アングル処理…という変化です。 システム面は、さほどストレスは感じませんでした。 メッセージウィンドウが鍵盤になっているためにやや文字が読み難い…とも見えますが、 慣れれば気にならないレベルかと。 ボイスは主人公以外のフルボイスという仕様です。 BGMは当たり障りのない音。 |
プレイした印象は、 普通…或いは少しイマイチっぽい感じ。 この作品で一体何を描きたかったのか…? という部分で、掴みどころのない作品だと思います。 普通に読み進めていけば、そこそこの出来だとは感じますが、 全体的に似たり寄ったり、あるいはマンネリ化した展開に思います。 作風としては非常に淡々としており、 ドラマ性があるような気もするようで…印象に残り難かったり、 事件が起きても、何事もなかったようにシナリオが進行したり、 エロシーンが連続してもエロ重視作品に思えなかったり… と、イベントとしては多様になっているのですが、どれもが中途半端な印象で終わります。 最初に調律師という独特の表現を用い、 更に、それは女性を性奴隷にするだけだはなく、「自分の意思で考え行動し、主人に尽くす奴隷」… と、言い切った割には、実際のゲーム内容はというと、 単純な性の調教シーンしかありません そのため、シナリオ上の説得性というものが大きく欠落している短絡的な内容に思いました。 確かに無駄を省き、テンポ良いシナリオの展開にしていることは賞賛できますが、 肝心の必要な部分の描写を怠っており、 これがシナリオの説得性を大きく失っている要因にしていると思われます。 更に調教…という部分を誇張するにしろ、 肝心のエロシーンが淡白です。 挿入したかと思うと、即行で終了してしまう始末……早漏です。 また、こういった描写で「自分の意思で考え行動し、主人に尽くす奴隷」が描ききれているかと言うと、 そうではないと思います。 地下室…という雰囲気を醸し出しながらも、 ほとんどはソフトタッチで合意上の和姦であり、 調教…という言葉が不釣合いな印象を受けます。 登場人物の感情もほとんど描かれません。 主人公に対する嫉妬や愛に目覚めていく…というにしろ結果論にしか過ぎず、 淡々と状況だけが描写されている始末です。 これは、シナリオ上に発生する「事件」に関係して「謎」を強調するためだと思われますが、 個別ルートではこれが弊害になっており、 ヒロイン達が何を考えているのかも判り難くしている要因になっています。 個人的には淡々と進む展開より、 ヒロイン達の取る最終的な選択や運命を描くつもりだったのなら、 ヒロインの感情を表現しドラマ性を強調するべきだと思います。 結局は、最終の真実のルートでのサプライズを演出するために、 描写するべきところを描写しなかったのが、この作品の致命的なミスだと思います。 また、伏線を多く配置してあるせいで、最終的なネタも読めてしまいますし、 個別ルートは予定調和な展開で終結。 |