Chanter(シャンテ) -キミの歌がとどいたら-
テリオス 2006/10/27
ディレクター:松島詩史 プロデューサー:紀室光世
エグゼティブプロデューサー:横田守
シナリオ:田中ロミオ/日野亘/火々野未完/平平平平 原画:土代昭治

悩みを抱えるヒロイン達と学園生活を通して、主人公が成長していく様を描いた内容です。

勉強はそこそこ出来るが、将来に何も見出せない主人公・飯島幹也。
少し自棄になりながらも目の前に夏休みが迫っていた。
幼馴染の香坂千歳、
生徒会長の綾瀬伊吹、
年下の幼馴染である新堂桜、
新堂桜の家で世話になっている野々原雪希、
友人の吉住琴子
とうようなヒロインを中心にして日常生活が描かれていく内容になっています。

ゲームは、ヒロイン達の軽快な会話を中心にして進みます。
主には何気ない日常生活の描写が主になっています。
内容的には、ドタバタ系ともシリアス系とも覚束ない中途半端な印象を受けます。一応、プレイヤーに笑いを取らせようとする意図は見受けられますが、これが面白いと感じるかどうかは人それぞれでしょう。

シナリオの流れはテンポ良く進みますが、起伏のない展開であり、序盤の流れがそのまま終盤まで続きます。
ただ、前半と後半でシナリオの色が違っています。
序盤は、流されるままの無気力な主人公がダラダラと描かれるだけですが、
後半になると、文化祭で行う準備を中心にした話が描かれていきます。
ここで、ヒロイン達が抱える問題と対面しながら、
無気力だった主人公が、突如としてポジティブシンキングに変貌してしまうという前向き(?)な内容で帰結します。

エロは、後半にルートが確定してから1回限りです。
内容的には3〜4つのセグメントを単純に繋げただけの形式で、長さ的にはそこそこありますが、
描写はさほど……という印象を受けます。
シナリオの位置づけから見てもオマケの印象が強く残ります。

絵は、塗りがかなりイマイチです。
とてもテリオス作品には思えません。
更に、絵自体に魅力を感じません。
パッケージの絵からしてチープな感じでしたが、それがそのまま作品の絵でした……
立ち絵は3アングルの若干のポーズ違い、そして表情違いとバリエーションはそこそこ多いと思いますし、
ポーズの変化も大きいのですが、
立ち絵はアングルによって、顔と身体のバランスが崩れています。
デッサン的に疑問に思う部分も多く、
あまり上手い絵には見えません。
1枚絵も似たようなアングル位置から描いたものが中心で、
ヒロインの顔が変わっただけで似たり寄ったりの絵…という印象を持ちました。

システム面は、不満をさほど感じません。
テキスト送りは快適ですし、エフェクトも切れます。
文字もそこそこ読みやすいので、ストレスなく進められました。

ボイスは主人公以外のフルボイスです。
ただし一部のヒロインで、素人っぽい感じのボイスに聞こえます。
BGMは、あまり変化のない音ですが、当たり障りのない音でしょう。
あまり変化がないので、場面によってはBGMが合っている気がしませんでしたが……

プレイした印象は、
かなりイマイチな出来です

シナリオの展開に起伏がなく、日常的な描写が多いために退屈です。
更には起承転結が弱く、作品を通してプレイしても何も印象に残らない感じです。

内容的な部分においても、この作品で何を主張したいのか…が不明です。
無気力だった主人公が成長していく過程を描いたもの…だと私は捉えましたが、
印象としては突如として性格が変貌してしまった感が強く、
何の根拠もなく積極的になってしまうので戸惑います。
また、後半になると文化祭で行うバンドのことが中心になっており、
更には歌を通してヒロイン達と一体感を得る…というような取り留めもない方向性にベクトルが変化するために、
ゲームシナリオとしての目的がハッキリとしません。
序盤の目的から外れてしまったシナリオの方向が修正されることなくエンディングに帰結してしまうために、
単なる流されるままのシナリオ展開、更に単純に行き当たりばったりで書いたシナリオ…という感を強く感じました。
結局は、単純な学園生活のシナリオにエロがあるだけ…という凡々な内容です。

細かい部分では、
登場人物の描写が薄いと思います。
会話中心のためか、心理描写がほとんどありません。
ヒロイン達にも、主人公を好きになる動機付けがありませんし、恋愛AVGとしては機能していないでしょう。
確かに、ヒロイン達は最初から主人公に気があるような感じで進むのですが、
単に予定通りのレールを走るだけの展開であり、面白みに欠けます。

あとは、ゲーム内の時間の変化が早いのも疑問に思います。
夏休み前〜文化祭、ヒロインによっては卒業まで…描かれるのですが、
これが足早に進むために時間の経過が物凄く早くなっています。
イベントが次々と発生し描写されるのは結構ですが、
丁寧さが皆無であり更には内容も全く伴っていないために、
薄いシナリオの内容に感じさせる要因になっているでしょう。

個人的には、後半の展開はまだマシだと思いましたが、
まず何よりもプレイヤーにゲームへ集中させる(作品の)魅力が大きく欠落している部分で、
この作品のマイナス要因だと感じました

ゲームは、エロゲをあまりプレイしたことのないライトユーザーであれば受け入れられると思います。
エロは薄いので期待しない方が無難です。


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以下、日記からのログです。ネタバレの可能性あり

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