夜刀姫斬鬼行
Terios 2005/12/16
シナリオ:狩野伊太朗/希文堂/紙谷龍生/梅本二郎 原画:横田守/土代昭治

普通の人とは違う力を持つ主人公。そして突如町に現れる鬼。その原因は主人公の出生に……という内容。

シナリオの進行は、前半は日常パートと核となるシナリオの展開が交互に挿入されているパターンで進行します。日常パートは、ややドタバタっぽいノリです。核となるシナリオの展開は、緊張感ある場面が展開されており、そういった部分が交互に描写されることによってメリハリがよく出ています。序盤から後半の伏線となる部分の描写が多くされており、シナリオとしては序盤からでもそこそこ作り込まれたシナリオであるということを予感させます。
戦いの部分では、演出面(BGMの挿入タイミング、効果音の使い方)がひじょうに上手く、更にCGやカットインCGの挿入が必要な場面にはそういったCGを入れているという作りはさすがです。また、そういった部分に余分な記述をしない…というテキスト描写のおかげで、戦闘シーンはテンポ良く進むのでスピード感を感じさせます。
後半は、主人公の置かれている立場がかなり明らかになっている状況のためか、日常的な描写はほとんどなく、純粋にシナリオの進行が展開していきます。ただ、やはり前半より説明の部分が多くなっていることは確かですが……。シナリオは、各キャラの定められた運命により逃れられない現実…という八方塞な方向で進行します。展開としては王道ですが、これが確実に面白いシナリオという部分では良い選択だと感じます。
ラストのまとめ方も上手いです。


立ち絵のバリエーションはそこそこ用意されています。塗りがややコッテリしたようなコントラストがあり、癖が強く感じます。ただ、これはこのブランドの特徴的な塗りなので過去作をプレイしていれば、さほど気にはなりません。イベントCGの挿入箇所が多く、テキストと立ち絵処理だけで進むだけのゲームよりかは飽きさせない作りになっています。
絵はさほど不満は感じませんが、キャラの衣装はもっと現実的にして欲しいところ。コスプレっぽいコテコテしたもの、ヒラヒラ派手な衣装は一般人には理解し難いものがあります。

メッセージウィンドウの幅が広く、文字も大きいので読み易い仕様です。また、透過度も変更可能。テキスト送りも快適でエフェクトも切れるのでシステム面に関しては不満は感じません。
AUTOセーブは選択肢上で勝手にセーブされるという親切設計。

ボイスは主人公以外のフルボイス仕様。ボイスはキャラに合っているという印象を受けます。
BGMは作風の雰囲気によく合っていて良い感じです。個々の場面におけるBGMの選曲は絶妙という印象を受けました。


プレイした印象は、良作。
作風に良い緊張感があり、さらに序盤でのこの作品の世界観への入り易さ、理解のし易さという点において、よく作り込まれた作品だと感じます。シナリオが絶対的に面白いとは思いませんが、このブランドの熟練した演出や細かい配慮が多くされており、飽きさせない緊張感を上手く引き出している作品は滅多にお目にかかれないかと思います。設定的にゲームの世界観に入り難い作風ですが実際にプレイするとそうでもなく、初回プレイでも十分に理解できる判り易い内容です。BGMの挿入タイミングや選曲、CGの演出や挿入箇所。あとは、日常パートの配分…など、ハイレベルな仕上がりです。
戦闘シーンの描写も拘りを感じます。実質の戦いの部分は余分な記述が排除されていて、戦闘シーンがひじょうにスピーディに感じます。そして、戦いが終わったときに描写が丁寧になる…という手法です。

ただ……刀ではなくて、剣が出てくる…というのが作風的にかなりNGだと思うんですが…しかも、アニメっぽい設定もNG。


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