新進気鋭の画家である主人公。その主人公の描いた絵を巡って不思議な出来事が…という内容。

3つの奇妙な物語を１つの作品にまとめた…という感じです。ルートは3つに分れており、全く別の物語として楽しめます。主題になる絵画という共通点がどの物語にもハッキリと示されており、一応作風全体としての色が明確に示されていて好印象です。
物語は主人公の周りで起こる奇妙な出来事…ということが共通しており、また、主人公の心理描写がしっかりとしているので、物語の……夢か現実かわからない…という部分が上手く描写されています。シナリオも軽快に展開し、描写も簡潔、更に上手い具合に緊張感も保たれているので、作品の世界に上手い具合にのめり込めます。
1ルートにつき2つのエンディングが用意されています。ハッピー（らしき？）とバッドですが、ルートによって弱冠完成度が違っている印象を受けました。1ルートの片側が完成度が高く、片方は完成度が少し低い感じです。
全体的に古風で日本的なミステリー…というような奇怪さ・不思議さが上手く醸し出されていたシナリオでした。

絵の塗り・配色がかなりイマイチです。稚拙な印象を受けます。また、キャラクターに魅力を感じません。

ウィンドウメッセージの透過度の変更が出来ず、文字が物凄く読みにくいです。画像エフェクトが切れません。エフェクトが掛かってるわけでもないのですが、キャラの表情が変わるときは弱冠クリック時のレスポンスの悪さが気になりました。

ボイスは女性のみ。キャラに合っているという印象です。BGMは当たり障りのない音で、作風には合っています。

プレイした印象は、限りなく良作に近い出来です。
シナリオは起承転結をきちんと守られていました。ただ、伏線の布石となる”承”の部分で後のルートになる材料を散りばめているためか、最終的なルートに全く関係しない伏線が物凄く目立つという点が気になりました。もう少しルート構成をしっかりと練って欲しいです。
また、”起”の部分でも、関係するのは１つのルート（コンスタンスルート）だけですので、ゲームの序盤に展開するシナリオとしては失敗しているように思います。
3つの物語ですが、3つとも全く違うストーリーでありながら、完成度は同じく高かったというのが好印象でした。
エロシーンも適度に発生しますし、絵さえ気にならなければ面白い作品だと思います。しかし、作風全体が暗いのでそういったものが嫌いな人には向きません。また、エンディングを迎えてもスッキリしない内容（鬱でもないが……）ですので、そういった部分を気にする人には向かないでしょう。