ななついろ☆ドロップス
unisonshift 2006/4/21
企画・原案:@ピース
シナリオ:市川環/風間ぼなんざ/@ピース 原画:いとうのいぢ/ぺろ

ぬいぐるみになった主人公。
それを解くために「星のしずく」を集める……という内容。

序盤は、主人公がぬいぐるみになった経緯、
そして「星のしずく」をヒロインの秋姫すももと集める経緯が描かれていきます。
そして、話の本題となる「星のしずく」集めが展開していきます。
基本的に会話中心の内容で進み、
ドタバタ系とは言い難いですが、それっぽい雰囲気をもった作風です。
文章は簡潔で理解しやすい内容とあってかシナリオはテンポよく進みます。
厳密には魔女っ娘系のシナリオではありませんが、それっぽい感じはあります。
それ系のアニメにありそうな内容…
…という感じです。

中盤では、「星のしずく」集めより、
ヒロインとの恋愛的な展開が中心に描かれていきます。
心理描写は直接的な表現はありませんが、
CGや登場人物の状況的な描写が上手く、ヒロインと主人公がお互いに惹かれ合っている
…と簡単に認識できるような作りになっています。

後半は、シナリオが動きだし、明確な起承転結を感じます。
エンディングは、3人のヒロインが用意されています。
個別ルートは中盤で分岐している仕組みですので共通パートは50%ぐらいでしょうか……。
ヒロインルートはそれぞれ色が違っており、
(1つのルートを除いては)仕上がりが上手くできています。

エロシーンは…本番はラスト周辺にしかありません。


絵は、ユニゾンシフトらしい塗りです。
美麗には感じますが、
もう少し塗りの部分で努力して欲しいと思います(ワザとだとは思いますが……)。
立ち絵は変化がそこそこ激しく、
パターン的には2アングルの2〜3ポーズ違い、
そして表情違い…という感じです。
ギャグ顔のパターンも幾つか用意されており、
それが作風に合っていて良い感じに見えます。
SDキャラのCG挿入も多く、そういった場面演出で飽きさせないビジュアル面での努力が光ります。
また、1枚絵のイベントCGの挿入も意外に多かったのが心象を良くします。
ただ、場面的にCG挿入箇所はもう少し熟考した方が良いと思います。
CGの不必要な部分にCGがあったり、CGの必要な部分にCGがなかったり
…という印象です。
しかし、総じて枚数が多く感じるので、さほど不満には感じません。

システム面ですが、画像エフェクトを切っても完全には切れません。
連続クリックでエフェクトキャンセルをしている
…感じは受けるものの、やはり文字送りのレスポンスがやや悪いという印象を受けました。
あとは、すももルートのエンディングでエフェクトを切っていると
エンドロール手前の場面が正常に描写されません。
こういった部分をもう少し丁寧に作って欲しいと思います。
場面的に一番肝心の部分であるのにエフェクトを切ると正常に描写されないとは御粗末な印象を受けます。

ボイスは、主人公以外のフルボイスという仕様です。
しかし、ぬいぐるみになった主人公にはボイスがあるので、
やや不満に感じる人がいるかもしれません。
BGMは、大半は作風に合っていて良い感じです。
しかし、一部でBGMが部分的に合っている気がしませんでした。


プレイした印象は、良作一歩手前という印象です。

雰囲気的なものは悪く無いのですが、
序盤から中盤にかけてはさほど面白味を感じない内容でした。
また、最終的なエンディング内容から見ると、
前半の部分における描写があまり意味を成していない感じを受けます。
テンポ良く進行するシナリオ構成が仇となっているのかもしれませんが、
もう少しイベントを引っ張っても良いような気がします。
また、前半で「星のしずく」を集めるという目的が提示されるのですが、
これが後半でさほど重要視されていないシナリオ構成になっているのが勿体無くも感じます。
確かに、「星のしずく」を言及した内容にはなっていますし、
主人公の置かれた状況を上手く利用したシナリオでもあります。
しかし、中盤以降はシナリオの着眼点がヒロインとの恋愛物語に執着しているためか前半の内容が浮いたような印象を受けました。
そのため、単にテキストを追っていけばそれなりの面白さは感じますが、
作品全体を通したときの流れのバランスが悪く感じます。
そういう意味で、惜しい出来……という感じですね。

ルートは、個別ルートでどうしても話の内容が秋姫すももに傾いているために、
メインルートの秋姫すももは良い出来です。
そして意外に健闘しているのは結城ノナルートで、メインが秋姫すももに置かれている割には内容がしっかりと作られていました。
しかし……八重野撫子ルートは予想通り散々でした。
これはやはりメインが秋姫すももという内容ですので仕方のないことなのかもしれません

設定がアニメっぽい(「カードキャプターさくら」に酷似)していることや、
判り易い内容ということで万人向け…という感じの作品です。
決定的に和気藹々とした明るさ…というのは感じませんが、
ややメルヘンチックなドタバタした雰囲気の受け入れやすい内容です。

エロは薄いのでエロを求める人には向きません



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以下、日記からのログです。ネタバレの可能性あり

2006/04/21
今日、エロゲ買いに行きました。購入は予定通りです。
しかし、「PRINCESS WALTZ」が延期されていました。正直…全然気付いてなかったです。

「この青空に約束を」はまだ途中ですが、プレイしていても面白みが感じられないので「ななついろ☆ドロップス」を早速プレイ中です。
「ななついろ☆ドロップス」は、まだ序盤なので何とも言えないですね。ただ、思ったよりかは……ダメなような気が……
シナリオのあらすじは全く違うのですが、雰囲気的には「CCさくら」から戦いの部分を削除したような感じかな。

2006/04/23 ななついろ☆ドロップス
〜〜秋姫すももネタバレ総括〜〜

主人公が別世界の薬を飲んでぬいぐるみになってしまう。
ぬいぐるみから人間に戻るためには「星のしずく」を7つ集めなければならない。
「星のしずく」を集めるレードルを扱えるのは、秋姫すもも。
しかし、何も知らない秋姫すももは未熟……
一方、ぬいぐるみの主人公の存在をこの世界の人間に知られてしまうと主人公は本当にぬいぐるみになってしまう……
昼は人間。夜はぬいぐるみ…という理不尽なライフスタイルを。

すもものライバルとして登場するのは、プリマ・アスパラス

という感じの、魔女っ娘でもないのですが、それに近い雰囲気を持った作品です

前半は、ぬいぐるみの状態をなんとか打破したい主人公。すももと一緒に「星のしずく」を集める。

中盤からは、恋愛AVGという流れに。
シナリオの流れから見れば、自然に感じます。
ぬいぐるみの状態の主人公に、人間の主人公の存在が大きくなっていく…というのを秋姫すももがしゃべってしまいます。それを機にすもものことを好きかどうかわからない…と思いながらも、秋姫すももに告白(この部分においては、クッキーのイベントで主人公は如月先生に嫉妬しているので、お互いが好き合っている…というのは感じ取れます)
その後は、主人公の体質の問題で、告白の返事が曖昧のまま……という流れ。
ただ、「星のしずく」を回収して…という部分の描写は完全におざなりになってしまうので、ややバランスが悪く見えます。

プリマ・アスパラスと秋姫すももの勝負で、秋姫すももに主人公の正体を知られてしまいぬいぐるみに……
この辺の、秋姫すももの心理描写は上手くできていると思います。
主人公は、何とか元の状態に戻りますが、新たな問題が。
人間になるには記憶が消えてしまう。
というのがラストに向けての流れ。

エンディングは、典型的な予定調和にならないのが良い感じ。
全ての記憶を取り戻してハッピーエンド…ということには帰着しません。
しかし、ハッピーエンドには間違いないですが、エンディングの方向性としてはベストな方法を取ったと感じました。
見せ場は、主人公を好きになる薬を如月から受け取りながらも、それを秋姫すももは捨ててしまい自力で関係を修復していこうとする姿……というところでしょうか……。こういった部分でプレオヤーに何らかのメッセージ性を送っているという印象を受けました。

まぁ、全体的な部分から見るとシナリオイベントのバランスが悪く感じますね……。シナリオの方向性が一貫していないというか…。前半〜中盤〜後半と、別々の物語として見ればよいのですが、如何せん序盤からの流れが一貫しているようには感じません
あと、視点的な部分ですが……後半になると、主点が秋姫すもも中心になっているように感じます。視点位置は主人公なのですが、主人公の存在が薄く感じます。

個人的には、中盤以降の流れは楽しめました。細かい部分を気にしなければ十分面白いシナリオ内容です。
それに前半では少し心配していましたが、プレイし終われば起承転結は明確に存在しているのがわかるシナリオです。
”転”の部分も上手く描写されていましたので、さほど不満は残らないという感じです。
ただ、前半の流れが普通っぽい感じの出来なので、そういった部分で作品の全体的なバランスの悪さが少し目立つような気がします。

秋姫すもものシナリオをプレイする限りは、7点か8点ぐらいかな。
〜〜結城ノナネタバレ総括〜〜

6話から個別シナリオが分岐。

シナリオが、どうしても秋姫すもも中心に動くシナリオなので、内容的にダメになるだろうと危惧していましたが、どうやら杞憂のようです。

シナリオは、結城ノナが惚れ薬を飲んでしまったことからスタートし、そこで主人公を好きになってしまう
素直になれない性格の結城ノナは、それを機にして主人公を想うが、それは薬のせいだと思い込む
結城ノナが主人公を好きになるのは、シナリオを通してみても惚れ薬が原因ではないことは明白に描写されており、そういった部分で丁寧な作りだと思います。
一方主人公の方も、アスパラスというライバルがヒロインでありながら、すももに味方をしながらもアスパラスのことが気に掛かっている…という上手い描写がされています。こういった部分で、2人が好き合っているというのが判るように誘導しているのが上手いと感じます
起承転結は明白にわかります。
ただ、結に持って行くにしろラストがどうしても予定調和な展開にしかならない…というのが少し残念です。
ラストは、そのために予定調和なエンディング内容でした。
見せ場は、”転”の部分で、結城ノナが元の世界に帰らなければならない…という部分です。主人公、ノナ、共に心理的な部分が簡潔に上手く描写されていて良い感じです。また、ここで結城ノナが元の世界に帰ってしまおうとするばっかりにラストが予定調和なのですが……。そもそも、シナリオの流れから見ても元の世界に帰る必要性は無いと思うのは私だけでしょうか…?
ラストは、もう少し展開に捻りが欲しかったですね。
ただ、作品全体を通して見ても、否定する要因は私には見つかりません。
私は結構楽しめました。

評価は前回と同じく7点か8点ぐらいです。
〜〜八重野撫子ルート総括〜〜

6話から個別ルートに入る。
展開に起伏がなく最後まで盛り上がりに欠ける内容でダレます。
起承転結もありません。
内容的にも、親友のすももの描写がされている始末で、ルートに乗ってもヒロインの占める割合が、すもも4割、撫子6割という感じの配分です。
主人公と撫子が好き合っているという動機が薄く、きっかけもイマイチ不明です。
見せ場は…8話辺りでしょうか……。それでも、印象に残り難い内容でした。
やはり、起伏に乏しい展開というのが印象を薄くしている原因でしょうか……。またキャラ的にも映えないキャラ…というのも原因かもしれません。

どの道、話の本筋は明らかにすももなので、その他のルートのシナリオを作るのは難しい内容だと思います。
それでも、結城ノナルートは健闘した方だと思いますね。八重野撫子ルートは無い方が心象は良くなるんですが……勿体無いです。

ということで「ななついろ☆ドロップス」は終了しました。
評価は……八重野撫子ルートを無視して7点にします。

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